亀井伸孝の研究室: ジンルイ日記
2007年8月
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■関学のみなさま、お世話になりました (2007/08/31)
■ただいま身体検査中 (2007/08/26)
■『手話でいこう』NHK「みんなの手話」で紹介 (2007/08/24)
■暑い国の知恵に学ぶ (2007/08/23)
■サーバーの夏休み (2007/08/14)
■格差社会を論じる人は (2007/08/12)
■うっかり探した「未来のフォルダ」 (2007/08/09)
■北京オリンピックの知られざる効果 (2007/08/08)
■なぜ新幹線の男性トイレには鍵がかからないのか (2007/08/05)
■売れ残った思想家たち (2007/08/02)
2007年8月31日 (金)
■関学のみなさま、お世話になりました
関西学院大学(関学)は、兵庫県西宮市の山の上にある。21世紀COEプログラムのスタッフとして3年5カ月、非常勤講師の時期も含めれば4年半もの間、坂道を登って仕事に通い続けた。転職にともない、本日をもって関学を退職することとなりました。
COEの「『人類の幸福に資する社会調査』の研究」というテーマに取り組んで3年あまり。「人類」や「幸福」という気宇壮大なテーマに、てらいなく挑むことの大切さ、意義深さを学びました。
在職中の喜ばしいできごととして、障害学生の支援体制ができたこと、そして、大学が手話を語学科目として認知したこと。これからが楽しみです。
研究者の私としては、ろう者のキリスト教団体の活躍を描いた念願の本を出版できたこと。ミッション系の大学に勤めているときに達成できたことには、何かの縁を感じます。
もっともおもしろかった学内業務は、メルマガ編集長。自分で書くだけでなく、人に書いてもらうというのも創造的でおもしろい仕事だと知りました。これは癖になりそう。
これまでお世話になりました関学の学生・教職員のみなさま、どうもありがとうございました。新しい職場で、新しいサーバーを舞台に日記を再開する日まで。みなさま、ごきげんよう。
2007年8月26日 (日)
■ただいま身体検査中
7月の参議院選挙で自民党が敗北。近いうちに内閣改造が行われる。投票日は7/29、人事の刷新は8/27だそうだから、その間およそ1カ月。どうして1カ月もかかるんだろう。
実は、政治家たちの「身体検査」が行われていたのだという。つまり、大臣候補者たちにスキャンダルの火種がないか、あらかじめ政府が調べてから任命するらしい。
「入閣候補の経歴、カネ、本人や家族の不祥事、暴力団との付き合い、異性関係、過去の失言、交通違反の有無などを調べる」(大貫智子, 毎日新聞2007年8月4日東京朝刊)党と政府の組織力を使って1カ月とは、ずいぶんと念入りな調査ですね。大臣を選べない一投票者としては、どうせやるなら議員に当選する前にそれをやっておいてほしいなあという思いがある。もうじき「合格」とされた人たちが、大臣就任の記者会見に登場するだろう。一方、「不合格」になった人たちはどうなるのかな。そっちのリストもかなり重要なのでは、と私は思います。
2007年8月24日 (金)
■『手話でいこう』NHK「みんなの手話」で紹介
拙著『手話でいこう』が、NHK「みんなの手話」で紹介されることとなりました。関係各位にお礼申し上げます。番組の中の「しゅわしゅわワールド」というコーナーで、私ども夫婦の暮らしのひとこまを描いたエピソードの数々が、2週にわたって紹介される予定です。
耳が聞こえる人と聞こえない人の間の異文化摩擦を、笑って見ていただきましたら幸いです。
放映日(いずれも教育テレビ)
[前編] 2007年9月1日 (土) 20:00-20:25(再放送: 2007年9月8日 (土) 11:15-11:40)
[後編] 2007年9月8日 (土) 20:00-20:25(再放送: 2007年9月15日 (土) 11:15-11:40)
2007年8月23日 (木)
■暑い国の知恵に学ぶ
猛暑が続いています。観測史上最高の気温を記録した町もいくつか。水分補給に気をつけましょう。さて、熱帯アフリカで働いてきた私の経験から言えば、暑い国にはそれなりのしのぎ方というのがある。
・早起きして仕事をする
・昼間の暑い時間帯は、むりに外出しないで屋内にいる
・大事な約束は夕方にしておく
暑さの中でむりをしないというのは、怠惰なのではなく、気候に適した生活の知恵である。年々暑くなっていくらしい日本の私たちも、熱帯の先人の知恵に学びたいものだ。
…それにしても、暑いですね(笑)。何とか乗り切りましょう。
2007年8月14日 (火)
■サーバーの夏休み
2007年8月16日 (木) 〜 8月22日 (水)関西学院大学の停電のため、1週間サーバーが停止します。その間、このサイトの更新ができません。
ああ、何たることだろう。この期間に、空前絶後の大作をここに掲載しようと思っていたのに。…というのは、もちろん冗談です。
私のような器の小さな人は、自分の力不足でできないことを、つい状況のせいにしたがります。停電で、電車運休で、台風で、伝染病休校で。逆らえない事態に出会ったときにかぎって、ああ、それさえなければ…などとつぶやき、ふだん実行したこともないような理想的な業務スケジュールを空想する。げに、人間とは弱いものです。
ともあれ、サーバーの夏休み。この期間は閲覧していただくこともできませんが、どうかご容赦ください。さほど過大な夢を見ずに、そこそこ日記ネタを集めておこうと思います。
休み明けから、またどうかよろしくお願いします。
2007年8月12日 (日)
■格差社会を論じる人は
「格差社会」は、選挙でもキーワードのひとつになるほど、近年の顕著な現象として注目されているもよう。ところで、格差社会をめぐる議論の中で、ひとつ気になっていることがある。こういった問題について新聞の紙上などで論じているのは、「○○大学教授」という人たちが多い。そう、「格差社会を論じるのは、みな定職についている研究者だ」ということである。うーん、なぜだろう。
大学業界は、いまや非常勤講師や年雇用研究員、パートや派遣の事務員など、非専任の教職員の存在ぬきには成り立たない。このような縁の下の力持ちたちが、日々の教育・研究・事務を静かに支えている。全国の大学の数を考えれば、その潜在能力と含み益は莫大なものであるにちがいない。
せっかく格差社会に焦点をあてた報道や議論が、定職にある研究者の視点を中心に構成されるのは、どうなんだろう。足元を見つめることも大事なのでは、と思います。
2007年8月9日 (木)
■うっかり探した「未来のフォルダ」
私のパソコンの整理法は、月別にフォルダをつくって何でも放り込むというもの。「200610」「200611」「200612」…というふうに、月別フォルダがずらりと並んでいる(参考: 野口悠紀雄『「超」整理法』)。さて、ある日のこと。去年の末に書いた原稿を読み直すために「200612」を検索しようと思って、うっかり「200712」と入力して検索してしまった。
カタカタカタ…
え…。存在するわけのない「未来のフォルダ」をパソコンが探している。もし何か出てきたらどうしよう。
「検索結果: 0項目」
あたりまえだけどね。自分の未来の仕事ぶりを探られているようで、えも言われぬ怖さがあった。
何も出てこなくてよかったよかった。未来は白紙だからこそ、がんばろうという気が起こるものだから。
2007年8月8日 (水)
■北京オリンピックの知られざる効果
2008年の北京オリンピック開幕まで、ちょうど1年となりました。(1) 中国はオリンピックを成功させたい
(2) そのため、欧米諸国の非難を浴びるような行為はひかえている
(3) たとえば、中国は資源目当てで、人権侵害や住民虐殺の疑いのある国も擁護することがあった
(4) しかし、それを続けると欧米に批判されるため、最近はそれをひかえている
(5) その結果、人権侵害や虐殺の実態解明が進み、住民に平和が訪れる機会となる可能性がある
平たく言うと、そういう国際政治のメカニズムが最近働いているんだそうです。「人生万事塞翁が馬」といいますか、「風が吹いて桶屋が儲かる」といいますか。
「オリンピックは平和の祭典」という言い方がある。もちろん、そんなのは名ばかりだと批判する向きもあるだろう。
ただ、「大会を成功させたい」と思う大国の面子が、地球の反対側の意外なところで、意外な人びとに平和をもたらすきっかけになるのだとすれば、それはちょっとおもしろい現象だと思う。
2007年8月5日 (日)
■なぜ新幹線の男性トイレには鍵がかからないのか
(最近よくある新書のタイトルのような題をつけてみました)新幹線には、男女どちらも使う個室トイレと、男性の小用専用トイレとがある。男性である私は、とくに深く考えることもなく、必要に応じて両方を使ってきた。ところが、あるときふと気になった。
(1) なぜ男性の小用専用トイレには鍵がかからないのだろう。
そして、
(2) どうしてそのことを、私はこれまで疑問にすら思わなかったのだろう。男性トイレには、鍵がない。さらに扉にはごていねいに小窓がついていて、中に人がいるかどうか、外から見て分かるようになっている。つまり、ここは「なかばオープンな空間」として設計されている。トイレであるにもかかわらず、だ。
ちなみに、私はそのことに反発や違和感を感じているわけではない。むしろ、それを自然なこととして受け入れてきた。
これは、男性と女性の身体機能やそれに関わる慣習の違いという問題にとどまらない。そのトイレを利用する男性、利用しない女性、新幹線の通路を通る男女の乗客たち、スタッフたち、その場を共有するあらゆる当事者たちが、このことを変だと思わずに受け入れている。これは非常に変なことだと思う。
「そんなこと、あったりまえやん」と思っていたことが、実はあたりまえでない奇妙なことなのだと気づいたことで、私はとりあえずこの発見に満足している。社会学的に分析したら、このネタ一つでそれこそ新書の1冊でも書けそうですね。
2007年8月2日 (木)
■売れ残った思想家たち
マルクス、フーコー、ベイトソン、ゴッフマン。これらの人たちに共通することは? 実は「値がつかなかった本」の著者たちです。自分の蔵書の一部を手放した。本棚がいよいよパンク状態になり、ある大手古書チェーンのスタッフに来てもらって、引き取ってもらおうとした。
「これは、カバーがありませんね」
「これは、背表紙が日に焼けて変色してますんで」
「見映えが悪い」というだけの理由で、ゼロ円の査定を受けたのが、冒頭に挙げた著名な思想家たちの本だった。
見映えがよく引き取られていったそれ以外の書物、合計129冊で9,590円。1冊あたりいくらだろう…と計算すると悲しいので、割り算はしないことにした。
貨幣と商品をめぐって格闘したマルクスの本が、大手古書店によって買いたたかれ、あるいは値すらつかずに置き去りにされていく。著者はこんな事態を想定はしていなかったでしょうね。何とも笑えるような笑えないような話です。
「別に、見映えなんて悪くても」。喜んで同僚にさしあげました。
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