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亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

ジンルイ日記

つれづれなるままに、ジンルイのことを
2007年9月

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最終更新: 2007年9月30日
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■力士の労働組合 (2007/09/30)
■所属のタイムラグ (2007/09/28)
■麻生さんのマンガの経費 (2007/09/26)
■山口大学集中講義日誌 (5) わずか4日間の達成 (2007/09/21)
■山口大学集中講義日誌 (4) アフリカの手話の世界へ (2007/09/20)
■山口大学集中講義日誌 (3) 声がかれる (2007/09/19)
■山口大学集中講義日誌 (2) ろう者の文化人類学 (2007/09/18)
■山口大学集中講義日誌 (1) SLとすれちがう (2007/09/17)
■仕事がうまくいかなかったから (2007/09/13)
■一日5000タッチの仕事量 (2007/09/09)
■ニワトリの意地 (2007/09/08)
■早起きは三文の損 (2007/09/07)
■垂直移動の職場 (2007/09/05)
■東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所に着任 (2007/09/03)


2007年9月30日 (日)

■力士の労働組合

序の口の力士だった時太山(ときたいざん)が6月26日、17歳の若さで急死した。時津風部屋の親方と兄弟子らによる暴行が、死因に関わっているとも見られている。

もし力士たちの労働組合があって、相撲界の慣行について若手力士たちが親方や協会と交渉する余地があったらどうだろう。ちょっと風通しがよくなるかも、と想像した。

地位にもよるだろうが、賃金をもらって相撲を取る力士は労働者でしょう。だから、労働環境を改善するための組合があってもいいのでは、と思う。

すべての相撲部屋の力士たち、団結せよ!(強そうな組合になりそうですね)


2007年9月28日 (金)

■所属のタイムラグ

原稿を書き終えてから刊行されるまで、ものにもよるけれど、ふつうは2-3カ月かかる。雑誌のコラムなど、早いものだと1カ月。丁寧に作られた書籍などだと、半年ほどかかるものもある。

そこで生じるのが「所属のタイムラグ」だ。A大学で勤務していた時にふうふう言いながら書き上げたものが、B大学に転職した後に刊行される。つまり、実際に原稿を書いた時とはちがう肩書きで世に出ることになる。

これまでお世話になったA大学での作業が、B大学での成果のように出るのは、いささか心苦しいなあ、と感じることがある。

もっとも、A大学に勤務し始めたときも、その前の所属大学からいろいろと印刷中の原稿をもちこんで、転職後の肩書きで出しまくったから、その時は貢献もしているはず。もちこみともちだしの「成果の収支」は、とんとんでしょうか。

大学の研究者は所属を移ることが多い。だから、転職後すぐに刊行された物は「前職の時の成果なんやな」と思って読んでいただければ幸いです。

>読者各位


2007年9月26日 (水)

■麻生さんのマンガの経費

政界随一のマンガ通で知られる、麻生太郎氏。マンガ雑誌は毎週チェックしているという。

さて、そこで浮かんだ疑問。「麻生さんのマンガ雑誌の代金はどこから支出しているのだろう?」

「文書通信交通滞在費」かな。国会議員に毎月100万円支給されているそうだから、マンガにつぎ込んだらずいぶんと研究できそうだ。

「立法事務費」? 立法に関する調査研究の経費として会派に入る。毎月60万。マンガ立法の準備のために、自民党が麻生さんに買ってあげているとかね。

まさか「事務所費」? マンガは事務所で読むから?

私は「経費でマンガを買うなんて!」などと気色ばむつもりはない。マンガ文化振興を政策で実行しようというのであれば、政治家として仕事に必要な資料なのでありましょう。それが日本社会にどのように寄与するかは、国会で答弁していただきたいと思うけれど。

ポケットマネーですか? それだったらもちろんご自由にどうぞ、です。


2007年9月21日 (金)

■山口大学集中講義日誌 (5) わずか4日間の達成

4日間の集中講義、ついに終了。マラソンが終わって、講師は力つきました。(笑)

うれしかったのは、この長時間講義に毎日くらいついてきた学生のみなさんの関心と意欲である。

「手話っていえばー? 聞こえない人たちの身ぶりとかでしょうか」(※)

そう言っていた学生諸君が、わずか3日後には、ろう者の文化理解と倫理と言語権と言語政策について実感とともに学び、堂々と自分の見解を述べられるようになった。この変化はすばらしい。

「日本の政府高官に、この集中講義を受けさせよう」(※)という意見が出た。ありがとう。そんな機会があったらおもしろいですね。もちろん、やってみたいと思います。

聞こえる人たちの中に、少しずつ理解の種をまく。それが、次の理解の種まきへとつながる。世界中のろう者たちに教えを受けてきた一人の耳の聞こえる研究者は、こうして少しずつ恩返しをしていきたいと思う。奮闘努力の日々は続く。

お招きくださいました山口大学の教職員各位、そして毎日つきあってくれた学生のみなさんに感謝しつつ、いち非常勤講師は新幹線で爆睡しながら家路についたのだった。

[おことわり](※)のコメントについては、表現を変えてあります。

→ [山口大学集中講義日誌・終わり]


2007年9月20日 (木)

■山口大学集中講義日誌 (4) アフリカの手話の世界へ

講義の3日目。

昨日は夕方になって疲れが声にきたが、今日は足にきた。1日6時間の立ち仕事だから、足が棒のようになる。夏休みはデスクワークばかりだったから、なまった体を鍛えなおすよい機会なのだが。

まる1日かけて、アフリカの手話の世界へと受講生たちをご案内した。

細切れの90分の授業では話しきれない、ましてや15分の学会発表では伝えられない長い長い物語だが、1日使えば大まかにあらすじをたどることができる。そうか、私の研究のような「予備知識がたくさん必要なテーマ」をしっかりと伝えるには、集中講義が適しているのかもしれないと思った。

晩、近所の温泉につかりに行く。大学の宿舎が温泉の近くにあってよかったと思いつつ、棒になった足をほぐした。

[つづく]


2007年9月19日 (水)

■山口大学集中講義日誌 (3) 声がかれる

集中講義を担当するのは、今回が初めて。これはおもしろい!と思った。

受ける学生の方は、まとめて濃い話をぶっ続けで聞くから、意識が短期間のうちに急上昇する。

話す講師の方も、ここぞとばかりにいろんなネタを用意して紹介するので、教えながら気分が盛り上がることこの上ない。

ただし。1日あたり、1.5時間×4コマ=6時間のしゃべりである。夕方5時もすぎれば、声がしだいにかれてくる。

声で話すのがそろそろ苦痛だから、授業のことばを手話に切り替えたいなあ、などと思う。もっとも、受講しているのは手話を知らない聞こえる学生たちだから、今回はそれはできない相談なのだが。

[つづく]


2007年9月18日 (火)

■山口大学集中講義日誌 (2) ろう者の文化人類学

今回の4日間の集中講義「現代政治社会論」のテーマは、「ろう者の文化人類学」。

学生に手話を教えるのではない。手話ということばを話して暮らすろう者の価値観や世界観を、文化人類学の理論と概念に従って、ストレートに異文化として教える。

講義名からは連想しにくいテーマかもしれないね。導入部分を聞いてきょとんとしているそこの君、さては事前にシラバスを読んでこなかったな。(笑)

ワークショップあり、映像あり、討論あり、発表あり。口をつぐんでいた学生の発言が、しだいに滑らかになってくる。時間を連続して使えるのが、集中講義のいいところ。

晩は研究会、そして同じ会場で交流会へと移行。差し入れの地酒をいただきながら、知人たちとの再会を喜ぶ。

[つづく]


2007年9月17日 (月)

■山口大学集中講義日誌 (1) SLとすれちがう

山口大学での集中講義のため、山口市を訪れた。ちょうど台風が接近中とかで、雨の中の到着となる。

「大雨のため、行き違いの列車が遅れています。今しばらくお待ちください」

単線のため、対向の列車を待つことしばし。姿を現したのは、みごとなSLだった。

SLに乗っている観光客たちが、こちらに向かって手を振っている。出張先の待ち合わせ時刻がある私には、観光客に愛想を使う余裕がない。もうしわけないけど、憮然と見送る。

駅で合流した、初対面の招聘元の先生方。深夜まで歓迎会をしていただき、あくびをしながら翌日の開講に備える。

[つづく]


2007年9月13日 (木)

■仕事がうまくいかなかったから

昨日、安倍首相がとつぜん辞めてしまった。国会のさなかに、である。

健康上の理由などもいろいろ言われているが、辞任の会見をおおざっぱにまとめれば「仕事がうまくいかなかったから/いきそうにないから辞めます」ということであるらしい。リーダーとして、という以前に、働く者としてそれでいいの?と驚く。

失業の危機に瀕しながら火だるまのようになって働く労働者たちがおり、仕事に返り咲くために志を燃やす求職者たちがいる。一方で、「再チャレンジ」を掲げていた当の首相は、自らを仕事へとしばる姿勢を放棄してしまった。

うーむ。つまりこの人は、再チャレンジする必要のない裕福な人なのかな。そういう印象を残して、この内閣は幕を閉じた。


2007年9月9日 (日)

■一日5000タッチの仕事量

[タイトル=37タッチ]

社会保険庁の勤務実態をめぐる報道が相次ぐ。[この部分=61タッチ]

かつて年金記録業務にコンピュータを導入するにあたって、「一日の入力作業は平均5000タッチまでとする」という労使間の合意があったという。[この部分=159タッチ]

勤勉に働こうとしない職員、労働者に甘い管理職、効率化が進まない行政の実態…。そういった問題の象徴として、このような職場慣行があったことが報じられる。[この部分=213タッチ]

私の興味は「一日5000タッチというのは、いったいどのくらいの量の仕事なのか」というところにある。ふだんタッチ数で仕事を測ったことなどないから。[この部分=172タッチ]

そこでこの日記では、それぞれの文を書くのに何タッチ打っているかを、いちいち数えてみることにした。[この部分=114タッチ]

日記全体で1186タッチ。漢字かなまじりの文字数にして481文字。この割合で5000タッチを換算したら、一日でおよそ2028文字の仕事。さて、これは多いでしょうか、少ないでしょうか。[この部分=215タッチ]

ひとつ分かったことは、「タッチ数を気にする方がよっぽど手間がかかる」ということだ。そんなことを気にするくらいなら、さっさと仕事を済ませてうちに帰った方がいいでしょう。これがこの検証の結論。[この部分=215タッチ]


2007年9月8日 (土)

■ニワトリの意地

「鶏口となるも牛後となるなかれ」

大きな国や組織、多数派に従うのでなく、小さくても独立独歩の道を歩め、とさとすことば。

ニワトリは複雑な思いを抱いていた。このことば、聞こえはよいが「体よく追い払われている」ようにも受け取れるからである。

「小さくとも独立の道をどうぞ」と理解あるふりをしながらも、牛たちは心の底でニワトリのことを低く見ている。牛はニワトリがいることに気づかず、ふんづけて通ることさえある。

ニワトリよ、それでいいのか? 君はそれで満足するのか?

ある朝、ニワトリはくちばしをみがき始めた。よし、こうなったら、牛もおそれるほどの強いニワトリになってやれ。

牛がニワトリに一目置き、丁重によけて通るようになる日まで。小さなニワトリの意地が冴える。おそるべし、ニワトリ。


2007年9月7日 (金)

■早起きは三文の損

「時差回数券」というものがある。ラッシュを避けて電車を利用する人のための割引回数券。使えるのは朝10時から午後4時までだから、通勤にはふつう使えない。

このシステム、ちょっと奇妙にも見える。がんばって早起きして職場に向かう人たちは通常料金。のんびり10時以降に乗る人は割引。そう、これは「早起きは三文の損」のシステムである。それってどうなんやろう。

私の発想は、逆に「早起きは三文の徳」を地でいく時差回数券をつくってみたらどうだろう、というものだ。

「朝5時までに乗車した人は2割引!」なんてキャンペーンをやったら、つられる乗客は多いと思いますよ。無精な私だって、4時起きでチャレンジしてしまうかもしれません。ラッシュ解消にも寄与するでしょう。

「早起き時差回数券」、検討してみてください。>鉄道各社どの


2007年9月5日 (水)

■垂直移動の職場

このたび私が着任した研究所は、8階建ての建物ひとつにおさまっている。

6-8F=教授個室/プリンタ/コピー機など
5F=ネットワーク関係部署/ラウンジなど
4F=研究員研究室 (*)私のメインポジション
3F=会議室
2F=事務室
1F=資料室

研究所の機能が、すべて縦に並んでいる。だから用事のたびに階段を上り下り。文字通り「上へ」「下へ」の大騒ぎとなる。

これまで勤めていた大学では、用事はすべて3階までにおさまっていた。そのかわり、広いキャンパスに機能が点在していたので、なにかあれば芝生を横切って校舎間をつっぱしった。つまり「右へ」「左へ」の大騒ぎ。

これまで横だったのが、こんどは縦になった。運動不足の大学人にとっては、どっちの方が健康にいいのかな…などと考える。


2007年9月3日 (月)

■東京外大アジア・アフリカ言語文化研究所に着任

9月1日より、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に研究員として勤務することとなりました。

これまでアフリカの手話とろう者について調査してきたことが、この転職に結びつくきっかけとなりました。

この研究所は、アジア・アフリカのさまざまな国・地域の言語・文化・歴史に関する知識を集積している拠点です。今回、その一角に手話言語の研究を含めていただいたことは、この上もない光栄なこと。

チャンスをくださった大学/研究所各位の期待に応えるべく、またアジア・アフリカの手話言語の研究の進展に期待する市民のみなさまの要望に応えるべく、身を粉にして働きます。

以上、所信表明。

[マニフェスト]
アジア・アフリカの手話言語の情報を集めて発信する新しいサイトを、近いうちに開設いたします。ご期待ください。



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