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亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

ジンルイ日記

つれづれなるままに、ジンルイのことを
2008年2月

日本語 / English / Français
最終更新: 2008年2月29日
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■9カ月での本作り (2008/02/29)
■『アクション別フィールドワーク入門』もうじき出ます (2008/02/19)
■校正労働症 (2008/02/15)
■多言語の相撲界 (2008/02/14)
■阪大外国語学部集中講義日記 (4) アフリカ応用言語人類学 (2008/02/07)
■阪大外国語学部集中講義日記 (3) ノリは外大のまんまです (2008/02/06)
■阪大外国語学部集中講義日記 (2) 隣はなにをする人ぞ (2008/02/05)
■阪大外国語学部集中講義日記 (1) キャンパスに帰る留学生 (2008/02/04)
■ビールのCO2排出問題 (2008/02/03)
■新幹線車掌とマック乗客の対話 (2008/02/02)


2008年2月29日 (金)

■9カ月での本作り

『アクション別フィールドワーク入門』
2007年5月24日: 本の企画第一案(ひらめきで書いた目次案)
  ↓(中略)
2008年2月26日: 校了(出版社の編集者による修正終了宣言)
今回、実作業9カ月で本がひとつできました。一時も気をゆるめることができない全速力の日々、さすがに疲れました。
200705: 一念発起する=ふりだし
200706: 執筆を依頼する
200707: 素案を集める
200708: 原稿を書く
200709: 草稿を集める
200710: 修正稿を集める
200711: 初校をチェックする
200712: 初校を集める
200801: 再校を集めてカバーを決める
200802: 三校をチェックしてさくいんを作る=あがり
息つぎする間もない、この進め方。18人の執筆者、4人の編集委員の息の合ったチームプレーと、出版社の担当編集者の献身的なご尽力のたまものです。初めて編者という仕事をやり終えて、一種の組織マネジメントを勉強する機会にもなりました。

2004年4月、関西学院大学COEに着任した時に「やります」と言ってから、4年越しの宿願達成です。このラストスパートの間、ほかの事業へのしわ寄せも多々あったことと思います。その意味で関係各位におわびしつつ。一晩休んでから、また次の目標に向けて突進を開始いたします。


2008年2月19日 (火)

■『アクション別フィールドワーク入門』もうじき出ます

前の職場である関西学院大学で、4年にわたって行ってきた若手研究者ワークショップ「多文化と幸せ」の成果が、本になります。
武田丈/亀井伸孝編
『アクション別フィールドワーク入門』
2008年3月31日
京都: 世界思想社
1,995円(税込)
フィールドワーカーは現地で情報収集だけでなく、実はいろんなことをしています。教えたり、手伝ったり、うろうろしたり、引きこもったり、殴られたり、笑われたり。しかし、何が起ころうとも「転んでもただでは起きない」人たちでもあるのです。

現場でのアクション別に配列した、これまでにないタイプのフィールドワークへの誘いの本が完成しました。そうか、フィールドワーカーってこんなこともしてるんだ。そんなふうに、笑って見ていただければ幸いです。

いよいよ、3月刊行・発売です。

刊行記念シンポジウム(3/17月, 大阪)もあります。よろしければご来場くださいませ。
(刊行記念!特別割引販売もありますし)

ピクトさんたちも活躍しています。10人、登場します。


2008年2月15日 (金)

■校正労働症

最近、校正ばかりしている。

「校正」。書き上げて出版社に入れた原稿を、印刷前に確認して微修正すること。赤ペンを握りしめ、ぶつぶつと音読しながら、間違いがないか、読みづらくはないかなどとチェックする。

ゲラに朱を入れてひとつ郵便で送ったら、また別の郵便が届いている。うーん。目をつぶると、脳裏を赤ペンが右へ左へと舞っています。

「校正労働症」:校正をしただけで、立派な仕事をしたのだと思い込む病。>私

「校正粘菌」:しつこくねちっこく校正の作業にこだわる人。>私

「校正少々」:時間切れで、ほとんど加筆せずに出版社にまかせてしまうこと。>私

アホな造語をして遊んでいる場合ではないのだけれど。さあ、一気に校正/攻勢\をかけて片付けてしまいましょう。校正/後世\に残る作品となることを祈りながら。


2008年2月14日 (木)

■多言語の相撲界

日本相撲協会が、力士たちのためのドーピングに関する説明会を開催したとき、多言語でテキストを作ったという(読売新聞 2008/02/14)。

記事によれば、少なくともモンゴル語、ロシア語、中国語、ポルトガル語、英語、韓国語のテキストが用意され、力士たちに配られた。

そうか、相撲界も今や日本語の単一言語社会ではないんですね。今年の初場所では12カ国61人の外国人力士がおり、全体の約1割を占めているんだとか。

ぎこちない日本語でインタビューに答える外国人力士を、微笑ましいという感じで眺めてきた私たちは、ずいぶんとおこがましいまなざしを投げかけていたのだと、今さらながら気付かされる。

そうそう、日本手話やアメリカ手話の説明ビデオもあるといいですね。そういう言語的ニーズをもつ力士が現れたときには。


2008年2月7日 (木)

■阪大外国語学部集中講義日記 (4) アフリカ応用言語人類学

今回の講義は「アフリカ社会特殊講義b」、テーマは「アフリカの言語・社会・開発」。

アフリカ社会の多言語状況を学びつつ、言語・文化的差異にかかわらずひとしく住民の人間開発に資する言語政策モデルを提唱しようというものです。え、難しそう? ふたを開けてみたら、そんなにややこしい話ではないのですけど。

異なることばを話す人びとが幸福に共存するために、みんなで知恵をしぼろうということです。単一言語幻想に陥りがちな私たちこそ、アフリカの多言語社会の知恵に学びたいものだ。

音声あり、手話あり、アパルトヘイトあり、ろう学校あり、政治あり、植民地あり、開発思想あり。アフリカのことばと人びとをめぐる雑多な話題のパッチワークにつきあってくれた学生のみなさん、どうもおつかれさま。

これまで3年間、非常勤講師としてお世話になりました。くたくたになった体で、通い慣れた箕面の山をバスで下り、家路に向かった。

→ [おわり]


2008年2月6日 (水)

■阪大外国語学部集中講義日記 (3) ノリは外大のまんまです

これまで3年にわたり、大阪外大の非常勤講師として教育のお手伝いをしてきた。

阪大の一学部になったと知ってはいても、その実感がわかない。こうやって授業をしているかぎりにおいて、その風景は私の知っている「大阪外大」以外の何物でもないからである。

授業中も、つい口が滑ってしまう。

私「この大阪外大では、…あ、ごめん、『阪大外国語学部』では」
学生たち「ええって、外大のままで(笑)」
私「阪大になって、なんか変わったことってあるの?」
学生たち「ないない(笑)」

正門の看板が「大阪大学」に変わっただけで、学生たちの空気は同じ、教員も同じ、いつもおせわになる職員も同じ。そのノリに安らぎを感じた。

[つづく]


2008年2月5日 (火)

■阪大外国語学部集中講義日記 (2) 隣はなにをする人ぞ

講師室 隣はなにをする人ぞ

異なる専門分野の間で話が通じないとき、「まったく、言語が違うよね」などとぼやく人たちがいる。比喩としては分かるけれども、それはちょっと違うと思う。同じ日本語どうしではないか。

ここの学部の講師室は、ほんとうに言語が違う。

ほかの講師がミスコピーして再利用に回した裏紙が、目に触れることがある。さっぱり読めない。何語の文字なのかすら分からないのである。

ほかの講師が学生の相談を受けている様子が、耳に入ることがある。二人が話している言語が何語なのか、まるで理解できないのである。

「言語が違うよね…」というぼやきは、こういうときのためにとっておきたいと思う。

[つづく]


2008年2月4日 (月)

■阪大外国語学部集中講義日記 (1) キャンパスに帰る留学生

大阪大学外国語学部(旧・大阪外国語大学)での集中講義をお受けした。箕面の山の上にあるキャンパスを半年ぶりに訪れる。

ここは、最近まで「大阪外国語大学」という独立したひとつの大学だった。いきさつはともあれ、2007年10月1日に大阪大学と合併し、今ではその外国語学部となっている。

開講日の前夜、キャンパスの中にある教員宿舎に向かうべく、バスに乗る。夜のバスで大学に向かう人たちは、留学生ばかりだった。日本語以外のいろんな言語が、バスの中で飛び交っている。

そうか。日本人学生は、夕方になったらキャンパスを出て、山を下りて家に帰る。逆に留学生たちは、用事で町に出た後だろうか、夕方になれば山を登ってキャンパスの寮などへと帰宅する。

多言語社会への予感を募らせながら、大学宿舎に入る。

[つづく]


2008年2月3日 (日)

■ビールのCO2排出問題

旧友と会って、ビールを飲んでいた時のこと。

(プシュ)
(シュワシュワシュワ…)

ビールの栓を抜くたびに勢いよく出る気体を見て、思わず顔を見合わせる。

私「これって、CO2やなあ」
友「そう、地球温暖化ガスや」
私「世界中で酔っぱらいが毎夜、温暖化ガスを出しまくっているわけか」
友「一晩に、世界でどのくらいビールからCO2が排出されるんかなあ」

いやいや、なにもビールの取り締まりを提唱するつもりはない。

でも、もし「チームマイナス6%」に協賛するビール会社が、発泡量を6%だけ抑えたCO2削減ビールを発売したら? 良識をよそおう小さな私は、買いかえてしまうかもしれません。糖質低めだのゼロだのができるんだから、「CO2低めビール」を作るくらい、わけないはずである。

地球温暖化防止のために、CO2削減ビールで乾杯!(プシュ)


2008年2月2日 (土)

■新幹線車掌とマック乗客の対話

新幹線の座席で、パソコンを開けて仕事をしていた。Macintosh iBook G4。年季の入った仕事の友である。

「おや、Mac ですね!?」

声をかけてきたのは、一般乗客ではない。まぎれもない、新幹線の車掌である。

私「ええ、iBook G4です」
車「かなり使い込んでますね。実は私もマックユーザーでして」
私「そうですかー。最近薄いのが出たとか?」
車「MacBook Airですね。あれはちょっと高いですかね」

こんな話になるのも、マックユーザーがマイノリティだから? うーん。「おや、Windowsですね?」という会話は絶対にないだろうから、そういう意味では、やはりマイノリティならではの出会いなのでしょう。

あの車掌は、今日も新幹線に乗るマックユーザーたちに、同志的連帯の呼びかけを続けているのだろうか。またいつかめぐり会える日を楽しみに。



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