亀井伸孝の研究室: ジンルイ日記
2008年8月
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■手話言語研修・週末日記 (4) 急増するリクエスト (2008/08/30)
■日本手話学会での共同基調講演 (2008/08/28)
■アフリカ3カ国のろう者、東京でそろい踏み (2008/08/24)
■手話言語研修・週末日記 (3) 折り返し地点をすぎて (2008/08/23)
■サイボーグ手話通訳者の夢 (2008/08/17)
■手話言語研修・週末日記 (2) 夏期休校中の強行軍 (2008/08/16)
■手話言語研修・週末日記 (1) この多様な受講生たち (2008/08/09)
■フランス語圏アフリカ手話の言語研修、本日開講! (2008/08/04)
■日本のろう教育とフォスターの教え (2008/08/01)
2008年8月30日 (土)
■手話言語研修・週末日記 (4) 急増するリクエスト
目下進行中の言語研修「フランス語圏アフリカ手話」の週末日記、第4回目です。どうかご笑覧ください。
■急増するリクエスト
言語研修「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」、全5週間のうちの4週間が終わった。残り日数がわずかとなり、受講生からのリクエストが急増する。
「こういう表現は勉強しないんですか?」
「せっかくだから、こんな話も聞きたいです」
はいはい、と熱意に押されながら、残り時間数を計算し、できることとできないことを振り分けていく。ありがたいような、しんどいような。
授業が終わってエレベータに向かったら、隣のモンゴル語研修の主任講師K先生と乗り合わせた。
私「いかがですか」
K「いやー、ほかのことがまったくできないね」
私「あと1週間ですね」
K「ま、がんばりましょう」
お互い、相手が教えている言語のことはまったく知らない。でも、同じ時期に同じ境遇にあるという点で、不思議な連帯感がある。
受講生たちのリクエストに応えるため、もう少しだけ自分の時間を使おう。そんな苦労ができるのも、あとわずかである。
■2008/08/25月: 第13課 時制
週の頭から、時制の勉強。完了、過去、未来を一通り学ぶ。LSAFの時制は中国語に似ていますねえ、などと、中国語経験のある受講生と話す。手話銀行のテーマは「動詞」。「許す」「始める」「続ける」「終わる」「整える」…。語の丸暗記コーナーが延々と続く。苦行のようだが、その分だけ飛躍的に表現力が増している。実際、最近の寸劇創作練習ではネタも高度になり、だんだんと長くなる傾向にある。
■2008/08/26火: 第14課 動詞
動詞/pouvoir/、/devoir/、/vouloir/などを用いて、「…できる」「…しなければならない」「…したい」などの表現を学ぶ。手話銀行のテーマは、前日に引き続き「動詞」。そろそろ言語研修の終了を見越していくつかのプランを提案、みんなで相談した。受講生たちは最終成果の演劇を、私たち講師はそれぞれのアフリカでの経験を1回ずつ講演することに。最終日のパーティについても話し合う。
■2008/08/27水: 第15課 S+V+COD+COI
「私は父にプランテンバナナを与える」というふうに、目的補語を二つそなえた4語で作られる文型を学ぶ。「だれが、だれに」と錯綜する人称を空間活用ひとつでさばくことができるか、手話のセンスが問われる難関である。手話銀行のテーマは「動詞、形容詞」。「新しい」「古い」「悲しい」「おいしい」「忙しい」「おとなしい」…。暗記の苦行は続き、知識の貯金が増えていく。研修終了日の打ち上げに、都内のカメルーンレストランに行くことに決めた。記録用に、授業風景のビデオ撮影。
■2008/08/28木: 第16課 S+V+COD+A、どちら、比較級
「私はこの犬が賢いと思う」というふうに、目的補語と属詞のどちらもそなえた4語で作られる文型を学ぶ。また、疑問詞「どちら」と形容詞の比較級を使った表現を練習する。手話銀行のテーマは「形容詞、色」。1週目から始めた「写真で学ぶアフリカ」のコーナーで紹介した写真が150枚に達し、その総集編をする。「プランテンバナナ」「キャッサバのバトン」「ヤシ油」「ポール・ビヤ大統領」「再統一記念塔」「タクシー」…。受講生は毎日の勉強で、カメルーンの生活文化にずいぶんと詳しくなったはずである。記録用に、授業風景の写真撮影。
■2008/08/29金: 小テスト/文化講演「ザンビアの聴覚障害児者」
金曜日の午前は、恒例の小テスト。手話の読解試験と、別室での面接形式による手話の表出試験。昨晩からの大雨警報でどうなるかと気をもんだが、明け方には晴れ渡り、試験は予定通り行われた。天気の女神は、試験官の味方であった。
午後は、ろう者の加藤嘉文氏(和歌山県立みくまの支援学校)を招いた文化講演。「ザンビア聴覚障がい児者の実態: 青年海外協力隊活動を通して」というテーマで、3時間の講演をしていただいた。講演は、日本手話と日本語関西弁とザンビア手話と英語とベンバ語の併用で行われ、日本手話-音声日本語の通訳者2人が配置された。愛知での豪雨のため鉄道が止まり、一夜を電車の中で過ごしたという加藤氏は、その疲れも見せず、ザンビアの衣装をまとって爆笑連続の講演をこなしてくれた。
夕方、講師と受講生の有志で、加藤氏を囲む懇親会。近所のイタリアンレストランで、LSAFとザンビア手話と日本手話と台湾手話と英語と日本語が混在する珍しい宴会が開かれた。講師である私が疲弊しているのを見て、日本手話や日本語からLSAFへの通訳を自らかって出る受講生が続出。夢のようである。研修開始1カ月の風景であった。
■奇妙な組み合わせの対応手話
懇親会の様子を見ていてちょっと笑えたのが、日本語とLSAFが癒着したコミュニケーション方法が現れたことである。たとえば「私がー、アフリカでー、友達とー、一緒にー、道をー、歩いていてー」と口で話しながら、/moi/Afrique/ami/avec/route/marcher/ というふうにLSAFの語を日本語の語順で表出しているのである。
もちろん、授業の中ではこのような「日本語対応LSAF」は許容しない。「LSAFの正しい語順を! 現地風のフランス語口型を!」と指導する。しかし、懇親会は別にいいでしょう。むしろ、ろう者が同席する場で口だけでペラペラと話をしないというモラルが根付いているのは、ひとつの成果であると言ってよい。
口で話しながら手話を表出する「音声言語対応手話」に対しては、批判があることも知っている。ただし、いち観察者として素朴におもしろいなと思うことは「どんな音声言語と手話言語でも組み合わせることができる」という、おそらく人類に普遍的な現象である。フランス手話と英語、アメリカ手話と日本語、LSAFと日本語など、不思議な組み合わせの音声言語対応手話を、私はこれまでいくつも目にしてきた。
そもそも、アメリカ手話はフランス手話+英語の組み合わせをルーツとするし、LSAFはアメリカ手話+フランス語の結合により生まれた言語である。音声と手話の言語接触が生み出したこのような対応手話の数かずは、あんがい新しい手話言語を生む源泉なのかもしれない。そんなことを想像する。
■せっせと授業の記録とり
目標言語であるLSAFだけで、ほとんどの講義や事務連絡などをするようになって1週間。講師だけでなく通訳者も兼務する私の負担は、かなり軽減された。エブナが延々と手話だけで講義しているとき、受講生たちが注視している様子さえ確かめれば、あるていど放っておけるようになったからである。
そういえば、この言語研修の授業風景をまったく記録に残していなかったな、と思い立ち、ビデオカメラやデジカメをもちこんで、せっせと記録することを始めた。手話銀行、写真で学ぶアフリカ、文法講義、自由会話練習、寸劇発表会に定期テスト。授業風景の一こまを記録する。通訳から解放されたからこそ、そういうことができるようになった。
■アフリカに行きたい!
言語研修が終わったら、この手話の知識をどう活かせるでしょうか。そんな相談を受けるようになった。確かに、日本でアフリカのろう者に会えるチャンスはかなり少ない。このまま解散して、時が経つにつれて忘れてしまったら、もったいないことである。
回答は、受講生の方からとんでくるようになった。
「私、近いうちにアフリカに行くことにしました」
「だれか、一緒に行きません?」
「病気の予防は? 航空券は?」
黄熱とマラリアの説明から始まり、具体的なアフリカ渡航の段取りについてお話しする。
全員がそうなるとは限らない。しかし、アフリカのろう者は、確実に身近な存在になったようだ。「手話を使用言語として活躍する国際人の育成」というこの言語研修の大きなねらいは、少しずつ実り始めているかのようである。
■来週は
第5週、いよいよフィナーレである。受講生たちのリクエストで、亀井が1回、エブナが1回の文化講演をする。いずれも「手話の授業」ではなく「手話による授業」。通訳なしのLSAFによる本格的なアフリカ史講義、アフリカ社会講義であり、これができるようになる日を待ち望んでいた。手話の言語研修のしめくくりにふさわしいに違いない。
また、水曜日には毎日新聞の取材がある。新聞社とはいえ、ウェブにおける動画発信をするということなので、テレビ取材に近いものになる。
すべての面でぬかりなく、有終の美を飾ることができますように。
2008年8月28日 (木)
■日本手話学会での共同基調講演
下記の登壇の機会をいただきましたので、ご紹介します。フランス語圏アフリカ手話、日本手話、音声日本語の3言語併用の講演会です。
言語研修の日々の業務で鍛えられ、おかげで最近では多言語併用も平気でこなすようになりました。
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日本手話学会第34回大会
9月14日(日)〜15日(月祝)
■基調講演
9月15日(月祝) 9:30-11:30
「フランス語圏アフリカ手話(LSAF): その歴史・現状・未来」
■共同講演者
亀井伸孝(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
エブナ・エトゥンディ・アンリ(カメルーンろう者キリスト教協会)
■キーワード
フランス語圏アフリカ手話(LSAF)、西・中部アフリカ、アメリカ手話、フランス語、言語接触
■要旨
西・中部アフリカのフランス語圏諸国のろう者たちの間では、アメリカ手話が音声/書記フランス語と接触する中で成立した手話言語が広域的に用いられている。講演者らは、アメリカ手話と異なる特徴をもつこの手話言語を「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」と命名し、その歴史的背景と特徴を明らかにするとともに、日本における語学教育の一環としてこの手話言語の研修事業に取り組んできた。本講演では、LSAFの歴史と現状、それに関する研究・教育実践の概要を紹介するとともに、今後の言語調査や教材開発に関する展望にも触れることとしたい。
主催:日本手話学会第34回大会実行委員会
後援:社団法人兵庫県聴覚障害者協会
期日:2008年9月14日(日)15日(月・祝)
会場:神戸研究学園都市大学交流推進協議会 Unity(ユニティ)(大学共同利用施設)
〒651-2103 神戸市西区学園西町1丁目1-1 ユニバープラザ2F
2008年8月24日 (日)
■アフリカ3カ国のろう者、東京でそろい踏み
なんとも不思議なめぐり合わせ。そう形容するしかない、ある1日の出会いがあった。
昨日8月23日、アフリカから遠く離れた日本の東京で、国も地域もまるで異なる3人のアフリカのろう者が、一堂に会して懇談することがあったのである。
写真の右から
・西アフリカ・コートジボワールのイェデ氏。
・東アフリカ・ケニアのカキリ氏。
・中部アフリカ・カメルーンのエブナ氏。
イェデはJICAの研修生として、カキリは秋田大学の共同研究者(兼・東京外大のゲスト講師)として、エブナは東京外大の招聘講師として。それぞれ違った目的・立場で来日し、めまぐるしいスケジュールをこなしていた。JICA+DPI主催の公開セミナー「差別と闘うアフリカの障害者」でコートジボワールのろう者が講演するという情報を得た私は、東京外大に滞在中のカメルーン+ケニアのろう者2人を誘い、引き合わせることに成功。
おもしろい機会だった。ろう者3人はいずれもASLをベースとしながら、フランス語口型や英語口型をまじえたチャンポンで歓談する。コートジボワールのイェデは、公式な講演の中ではしきりに英語口型を付けて話していたが、昼食のときになるとあっというまにフランス語口型の手話(フランス語圏アフリカ手話)に戻り、エブナと私と3人で話している時などは、フランコフォンどうしの奇妙な盛り上がりを見せた。
アフリカのろう者が続々と来日し、おたがい東京で知り合う。私が12年前にアフリカの手話について関心をもち始めた頃には、想像もできなかった事態である。おもしろい時代になったものだ。もちろん、研究者として、アフリカのいち友人として、喜んでいる。
2008年8月23日 (土)
■手話言語研修・週末日記 (3) 折り返し地点をすぎて
目下進行中の言語研修「フランス語圏アフリカ手話」の週末日記、第3回目です。どうかご笑覧ください。
■折り返し地点をすぎて
言語研修「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」、5週間のうちの3週間が過ぎた。ちょうど中間の折り返し地点を過ぎ、復路にさしかかったことになる。
ちょうど中日(なかび)にあたる8/20水の朝のあいさつで、「今日は何の日?」と語りかける。
「今日は13日目です。みなさんは2週間前の月曜日に集まり、手話の学習に取り組んできたわけですが、ようやく25日間の道のりの半分にたどり着きました。残り半分も、がんばっていきましょう」(以上、LSAFのみで)
講師の手話を見て、うんうんとうなづく受講生たち。
半分を過ぎるというのは、講師にとっても微妙な転機となる。「今日で○日目、先は長いな」という意識が薄まり、「残りはあと○日、どこまでできるだろう」という方に発想の中心が移る。峠を越えて下り坂、というのどかな趣はない。どのレベルまで到達できるか、挑戦の日々が続く。
■2008/08/18月: 第8課 何/第9課 どこ、どのように
先週は、手話の地名・人名の学習に伴ってアフリカ史ミニ講座などをしていたおかげで、1課分の勉強が残ってしまった。後れを取り戻すべく、1日に2課分進める。疑問詞「何」「どこ」「どのように」を用いた表現を学ぶ。盛りだくさんなので、手話銀行のコーナーはお休み。「今日の予定は何?」など、便利な会話表現もあわせて練習。
■2008/08/19火: 第10課 いつ
疑問詞「いつ」および「いつから」「いつまで」などの表現を学ぶ。手話銀行のテーマは「数」。0から10億までの数のシステムを覚えた。「ワン、トゥー、スリーとつぶやくのはやめましょう!」と、あらためて「脱・英語口型指導」。口型の参考資料に、「アン、ドゥ、トロワ…」というフランス語の数の読み方(カタカナ)の表も配布する。
■2008/08/20水: 第11課 なぜ、何時
13日目、研修のちょうど中日(なかび)。「なぜ」「何時」およびそれらを用いた質問や答え方を学ぶ。手話銀行のテーマは「時間」。「何日?」という質問のしかたもあわせて学習した。始業、終業のあいさつや連絡事項、休憩時間、集合時刻と場所など、最近は事務的な伝達もLSAFだけで行うことが増えてきた。
■2008/08/21木: 第12課 いくら、いくつ、何歳
疑問詞「いくら」「いくつ」「何歳」およびそれらを用いた数にまつわる表現を学ぶ。手話銀行のテーマは「動詞」。お金に関わる表現を導入すると、受講生たちの会話練習で、さっそく店でのぼったくりや値切りのネタが飛び交う。今日の寸劇練習で、受講生たちはアフリカの市場で手話による値切り交渉ができるようになった。
■2008/08/22金: 小テスト/文化講演「ケニアのろう者コミュニティ」
今週も、金曜日の午前は小テスト。手話の読解試験に加え、初めて「手話の表出試験」を行った。教室の隣の小部屋に受講生を一人ずつ招き入れ、カードに記した語や文の手話を表出してもらう。
午後は、ケニアのろう者Nickson O. Kakiri氏(VSO)を招いた文化講演。「Working with the Deaf People in Kenyan Deaf Community」というテーマで、3時間の講演をしていただいた。講演はアメリカ手話で行われ、アメリカ手話-日本手話の通訳者2人、日本手話-音声日本語の通訳者2人の、合計4人の通訳者を配置した。今回だけは一般公開の形をとったため、学外から多数の来場者を迎えることとなった。参加者は約40人、ろう者を中心として一般市民も数多く参加し、活発な質疑応答も見られ、3言語併用の講演会は盛況のうちに終わった。
夕方、講師、受講生、一般来場者や通訳者の有志で、Kakiri氏を囲む懇親会。ケニア手話の素養のある参加者も複数いて、アフリカ大陸の東と西の手話・ろう者の違いの話などにも花が咲く。
■DVDと教科書の効用
受講生の中には、仕事や家庭の都合でどうしても授業に出席できない人がいる。それぞれの事情だから、やむをえない。そういうときでも「休んだ日も、DVD教材を使って自宅で勉強できました」という意見に接したので、驚いた。
教材として配布したDVDには、手話の辞典だけでなく、テキストの各課の会話スキットがすべて収められている。それを見れば、基本的な会話例と語彙と文法事項を学べるようになっている。やむをえず欠席したときでも、DVDが授業代わりになったというのは、DVDの機能を評価していただけたことであり、開発者としてはこの上もない喜びである。
テキストも構成が練られていてよいという意見をいただいた。ありがとうございます。カメルーンの首都ヤウンデで、1カ月悩み抜いて書き上げたシナリオなんです。DVDにせよ、教科書にせよ、この1年間に注ぎ込んだ労力が日の目を見た。そんなうれしさがある。
■放課後の風景
ほんの2週間ちょっと前に初めて手話というものにふれた受講生が、放課後にエブナ講師と通訳ぬきで延々と世間話をしている様子が目に入る。
少し前だったら、放課後にエブナと受講生が会話しようとしていて通じず、両方の言語が分かる講師として私は状況を放置もできず、通訳の手伝いに入ることも多々あった。最近はその必要がなく、(もう自分でしゃべってくれー)と安心して放っておける。集中講義の効果というのはこれだ、と確信する。
■課外の手話実践
8/23土に、学外で「差別と闘うアフリカの障害者」というセミナーがあった。ちょうどこの時期にJICA研修生として来日したアフリカ諸国の障害者らによる報告会だが、その中に西アフリカフランス語圏のコートジボワールから来たろう者が含まれていた。コートジボワールも手話は同じだから、興味があれば参加してみてはいかがでしょうか、と授業中に紹介した。私も一般参加し、会場では何人かの受講生の姿も見かけた。
コートジボワールのろう者の手話は、私たちが学んでいるLSAFそのものである。公的な講演では日本人来場者にあわせて英語口型を用い、昼休みになるとフランス語口型に戻る。おもしろいコードスイッチだなあと思う。
受講生のひとりと立ち話。
私「彼の手話、読み取れた?」
受「ええ、少し」
言語研修の課外でのよい手話実践になったようで、こんな輪がいっそう広がるといいなと思う。
■来週は
週の初めから、時制を本格的に導入。主語+動詞+直接目的補語+間接目的補語(…に…を)の4語からなる文型を学習。手話銀行は、動詞や形容詞などを幅広くあつかう。文化講演は、和歌山県立みくまの支援学校の加藤嘉文氏、青年海外協力隊で赴任したザンビアのろう教育について。
気付いたら北京オリンピックもそろそろ終わり、秋を思わせる涼やかな風が感じられる。言語研修には、それ以外のことをすべて忘れさせる不思議な魔力がある。うっかりと風邪などひかないように気をつけつつ、第4週を迎える準備をしている。
2008年8月17日 (日)
■サイボーグ手話通訳者の夢
手話言語研修まっただ中。私は、日本語や日本手話を用いてフランス語圏アフリカ手話を教える講師であり、また、いくつもの手話言語といくつもの音声言語の間の通訳をする同時通訳者も兼ねている。連日連夜のぶっつづけ手話労働に、週末はだるい腕を抱えて物憂い時を過ごすことになる。ああ、サイボーグになれたらどんなにいいだろう…猛暑の昼下がりの悪夢の中で、そんなことを考えた。
望みその一。強靭な腕を持ちたい。3-4時間の通訳でばててしまうような生身の腕を外し、24時間フル稼働できる強靭な鋼鉄の腕(かいな)を装着したい。そんなことしたら通訳を頼まれまくってたいへんなことになるのは、想像に難くないのだが。
望みその二。脳に多言語辞書を挿入したい。いっかな多言語併用人間だといっても、難解な専門用語をどの言語でも等しく使えるわけではない。電子辞書のように脳にSDカードを装着し、外部メモリを動員して同時通訳ができたらどんなにすばらしいことか。
生身の人間の腕と脳には、できることとできないことがある。訓練が足りないことは百も承知。それでも、もし可能であるならば、私は愛の手よりも、サイボーグ手話通訳者になりたい。
…悪夢から目覚めた。汗だくの昼下がりである。土日は、せいぜい休息することとしよう。
2008年8月16日 (土)
■手話言語研修・週末日記 (2) 夏期休校中の強行軍
目下進行中の言語研修「フランス語圏アフリカ手話」の週末日記、第2回目です。どうかご笑覧ください。
■夏期休校中の強行軍
8/11-13の3日間は、全学休校期間である。AA研も完全に施錠され、教室を使うことができない。言語研修「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」は、この期間も休みを入れず、大学外の別会場で授業を続行する方針をとった。理由は「語学の実をあげるため」。始まって2週目にさっそく休暇を入れて、第1週に教えたことを忘れられてしまったらもったいない。隣の「モンゴル語」も、同じ発想で授業続行に臨んだようである。酷暑の3日間、府中市生涯学習センター(京王「東府中」駅からちゅうバス4停留所)に会場を移して授業が強行された。
私たち講師も、東府中駅経由で生涯学習センターに通う日々が始まった。
■2008/08/11月: 第5課 S+V+COD
ふだんと異なる会場であったが、大きな混乱はなかった。教室もプロジェクタなどの機材も問題なく、静かなセンターで勉強に励む。先週の復習をするとともに、「私はバナナを食べます」というような3語からなる文型を導入した。手話銀行のテーマは「日用品」。
■2008/08/12火: 第6課 否定文いろいろ/新聞取材
「…ない」だけでなく「決して…ない」「まだ…ない」など、さまざまな否定文の作り方を学ぶ。自由会話練習。「私はヘビが好きじゃない!」「まだカメルーンには行っていない」など、自分なりのいろいろな表現ができるようになる。手話銀行のテーマは「飲み物」。The Daily Yomiuri の記者が取材で来られた。休憩時間に受講生たちにインタビュー。講師がいると話しづらいこともあるやろうと、私は席を外すようにしていたが、記者さんはいろいろな思いを聞けてよかったと満足げ。ろう者の受講生やエブナ講師にも手話通訳を通してインタビューし、それも実りがあったようである。学習センターの教室予約が17時までだったため、喫茶店に場所を移してDVD辞典の説明など、結局19時までにおよんだ。掲載は9月頃の予定。
■2008/08/13水: 第7課 命令文、だれ
「食べろ」「食べるな」などの命令文、また疑問詞「だれ」の使い方を学ぶ。「だれ」の例文作りの材料として、アフリカやヨーロッパの著名政治家のサインネーム(ろう者がつけた手話のニックネーム)を紹介した。ンクルマ、マンデラ、モブツにオバサンジョ、サルコジ、シラクにミッテラン。有名人には必ずろう者たちが手話のあだ名を付ける。手話銀行のテーマは「国名」。受講生がみなアフリカ通ではないため、国名の手話を学ぶだけでなく、ガーナとはどこにあるどういう国なのか、などと地図で丁寧に紹介。
■2008/08/14木: 国名と人名の復習/DVD懇談会
久しぶりにAA研の会場に戻る。第8課をやる予定を延期し、国名と人名の手話をしっかり覚えるための復習に費やした。「赤道ギニアってどこですか」「モブツってどんな人?」。ベナンのろう学校の児童たちが手縫いで作ったアフリカの地図を教室につるし、それを使いながらのアフリカ地理・歴史ミニ講座になった。手話銀行のテーマは「月、曜日、数」。月曜(lundi)のL、1月(janvier)のJとRなどを織り込んだ語であり、いよいよフランス語の知識が求められるレベルに入る。4時間目はいつもと趣向を変えて、「DVD懇談会」を企画した。配布したDVD辞典を各自使ってみて、気付いたことをあれこれ指摘してもらう。「アフリカの食べ物については写真を入れてほしい」「手話の口型を学ぶためにカナをそえてほしい」「辞典の項目間にジャンプ機能を」。いろんな要望や提言をいただいて、今後の改良に向けた野心に灯がともる。
■2008/08/15金: 小テスト/文化講演「東アフリカのろうコミュニティ」
金曜日の午前は、週のまとめの小テスト。手話の語の読み取りに加え、本格的な文章読み取り問題が登場。「フランス国旗は青、白、赤です」「カメルーンの大統領はポール・ビヤです」。そういう手話の文が読解できるようになっているのはすばらしい。午後は、聴者の宮本律子氏(秋田大学教授)を招いた文化講演。「東アフリカ3カ国(ウガンダ・ケニア・タンザニア)のろうコミュニティと手話教育」というテーマで、3時間の講演をしていただいた。華やかなアフリカの衣装で現れた講師の話は、言語調査法や食文化、開発とろう教育、ケニア手話とろう者による研究の紹介、ケニアの障害観など広くにおよび、受講生たちの活発な議論に支えられて、時間を10分も超過して終了した。講演は日本語で行われ、手話通訳者により日本手話に同時通訳された。夕方、講師と受講生の有志で、宮本氏を囲む懇親会。
■手話での質問者急増!
私の通訳を介さず、直接LSAFでエブナ講師に質問する人が急増した。これはたいへんよい傾向である。ただ、上達者がろう者講師とパパッとやりとりして納得するだけだと、ほかの受講生がそれを見落として理解不足を起こすかもしれない。手話は音声のように拡散しない言語なので、話者を注視していないと情報が届かないのである。
上達者の質問を私が手話で言い直して全員に示し、エブナの回答もゆっくりと全員に示してもらうというふうに、会話のコーディネートをする機会が増えた。
■隣は何をする人ぞ
府中市のセンターで事務手続き上の用件があり、授業中のモンゴル語の部屋をわずかな時間訪れることがあった。私はその光景を見て愕然とした。「え、だれも手話を話していない…」
私たちのクラスは、獲得目的とするのがLSAF。一日の大半を、手を動かし、あるいは目を見開いて手話を読解することに費やしている。また、各人の言語経験を考慮して、日本手話やアメリカ手話やフランス手話を媒介言語として併用することもある。言語の別はあれ、とにかく手話漬けになること、声だけでぺらぺらと進めてはいけないことをマナーとしている。それが言語研修なのだ、という思い込みがある。
数十秒かいま見た隣のモンゴル語の部屋で、だれ一人手を動かさず、全員が口だけで話している光景が、実に不思議な世界に映った。
研修や 隣は何をする人ぞ
もちろん、それぞれなりの言語研修の形があってよい。でも、風景の違いに軽いカルチャーショックを覚えたのは事実である。
■東府中でアフリカの手話
AA研のある職員の方に聞かれた。職「亀井先生、この前、東府中のマクドナルドにいましたか?」
K「ええ。…でも、どうしてそれを?」
職「アフリカの方と手話で話している人がいましたから。人違いかな、とも思ったんですけど」人違いなわけないでしょう(笑)。この近辺でアフリカの人と手話で話す人など、そうたくさんはいないはずである。ただ、研修終了後には「あ、それは人違いです。きっとうちのクラスの受講生でしょう」などと軽やかに答えられるほど、熟練した研修生たちを世に送り出したいものである。
■来週は
だれ、何、どこ、いつといった疑問詞のレパートリーを増やしていく。あわせて、手話言語学習の難関のひとつである、空間の使い方の学習に挑戦する。文化講演は、ケニア人ろう者のニクソン・カキリ氏。テーマは、ケニアのろう者コミュニティ。アメリカ手話による講演であり、日本手話へ、さらに音声日本語への通訳態勢を準備した。3言語併用の講演をコーディネートするのは初めてで、しかも公開行事として行われる。つつがなく終わることを祈りたい。
2008年8月9日 (土)
■手話言語研修・週末日記 (1) この多様な受講生たち
目下進行中の言語研修「フランス語圏アフリカ手話」の週末日記をアップします。どうかご笑覧ください。
■この多様な受講生たち!
「フランス語圏アフリカ手話(LSAF)」の言語研修が8月4日に始まった。受講生は10人。聴者もいればろう者もいる。女性がやや多いが、男性ももちろん複数参加している。年齢も所属も職歴も言語経験も、まるでばらばらの10人が集まった。
アフリカ滞在歴1年という人もいるが、ほとんどはアフリカ未経験。異文化いろいろに興味ありという人たちが、アフリカの手話にもふれてみたいと参加したケースが多いようである。
背景の多様な受講生たちで構成されたクラスだが、目的はひとつ。フランス語圏アフリカ手話を共通言語として習得することである。日本はもとより(当該のアフリカ諸国を除いて)世界的にも開講されたことがない手話言語の講座という新しい試みがスタートした。
■2008/08/04月: 第1課 あいさつ
/ボンジュール/(こんにちは)、/メルシー/(ありがとう)などの会話表現を学ぶ。午後にはさっそく、あいさつを組み合わせた寸劇をやる。また「手話銀行」のコーナーを始めた。毎日およそ20語ずつを丸暗記するというもので、初日のテーマは「家族」。研修が終わる頃にはずいぶんと大きな「貯金」になっていることだろう。
■2008/08/05火: 第2課 指文字
アルファベ(A, B, C…)を片手で表現する指文字26文字を学び、自分の名前の表し方を学ぶ。また、エブナ講師が考えた受講生のサインネーム(手話のニックネーム)をひとりずつ贈呈。手話銀行のテーマは「動物」。また、「写真で学ぶアフリカ」のコーナーを開始した。エブナがカメルーンで撮ってきた写真をパワーポイントで示し、アフリカの食物や動植物、風習、名所などの手話とその解説を学ぶコーナー。受講生からの質問が続き、時間切れになるほどの好評を博す。
■2008/08/06水: 第3課 S+V, S+A
「私は歩きます」「私はろう者です」のような、2語の文型を学ぶ。手話銀行のテーマは「食べ物」。夕方には、午前の文法と午後の語彙を組み合わせた寸劇を班ごとに作り、発表会をした。市場の泥棒や、男女の機微をあつかうような笑いを取る作品が多く、受講生も講師陣も大笑い。
■2008/08/07木: 第4課 …がある/…ない
「トマトがある」「トマトがない」などの構文を学ぶ。手話銀行のテーマは「仕事」。名前、手話名、仕事、ろう者か聴者か、日本人かどうかなど、全員がLSAFで自己紹介ができるようになる。
■2008/08/08金: 小テスト/文化講演「北アフリカのろう者」
毎週金曜日の午前は、週のまとめの小テスト。指文字や手話の読み取りなど。試験後、全員で記念写真。午後は、ろう者の永井弓子氏を招いた文化講演。「北アフリカに住むろう者と触れ合って: モロッコ・チュニジア・エジプトのろう文化」というテーマで、3時間の講演をしていただいた。イスラム教文化圏のろう者たちの文化と手話の話題に、受講生たちの活発な質問が相次ぎ、満足度の高さをうかがえた。「アラビア手話」ミニ講座も好評。講演は日本手話で行われ、ベテラン手話通訳者の配置により支障もなく、よい雰囲気の中でぶじに終了した。夕方、講師と受講生の有志で、永井氏を囲む懇親会。
■受講生たちのノリのよさ
アメリカ手話などの既習者と初心者のギャップについて気になっていたが、初心者の伸びと意欲とが目覚ましいので、この調子でがんばってほしいと思う。班別に会話練習をしましょうと言っただけなのに、寸劇にギャグを盛り込まずにはおれないという、受講生たちの仲のよさ、ノリのよさに救われている。
■ほかの手話言語既習者の弱点
意外に手こずるのが、「ほかの手話言語の特徴をついまぜてしまう」ケース。たとえば/mon/nom/(私の名前)とLSAFで表出するときに、アメリカ手話経験者の口元は明らかに(マイ・ネーム)と動いている。日本手話(日本語対応手話)学習者の口元が(わたしの・なまえは)とつぶやいているのも気になる。「日本語や英語の口型はがまんして! (モン・ノン)とフランス語口型を軽く添えるのが現地風ですよ」と強調する。講師は、どこか「英語狩り」のような役回りになる。
また、アメリカ手話やフランス手話の経験者がそれらの語彙を混ぜ込んでいるときは、やさしく指摘する。案外初学者の方が、ストレートにLSAFだけを覚えている。
■講師の役割分担
文法解説は亀井担当、語彙と文化の紹介はエブナ担当、グループ会話練習のときは二人で各班を巡回するというふうに役割を分けていて、それはうまくいっているようだ。私も、LSAFと日本語と日本手話とフランス語の4言語を併用して、講師になったり通訳者になったりする。エブナに向かって猛然と日本手話で話しかけるなど、言語を取り違えてしまうこともときどきあるが、おおむね多言語併用には慣れてきた。エブナも、本来の自然なLSAFのほかにジェスチャーやマイムを取り入れ、手話初心者が直接見て分かるような方法を工夫して講義している。次第に私の通訳が要らなくなってくることを期待したい。
■来週は
主語+動詞+直接目的補語(…を)の3語からなる文型を導入。また、疑問詞「だれ」「何」の使い方を学ぶ。手話銀行のテーマは、日用品、国の名前、曜日や月など、語彙のレパートリーがいっそう広がるはずである。文化講演は、秋田大学の宮本律子氏(アフリカ言語学)、東アフリカ諸国のろう教育事情について。また、英字紙 The Daily Yomiuri の取材の予定がある。大学閉鎖期間も重なるため、会場の点では受講生に不便をかけるが、学んだことを忘れないためには連続開催の方が望ましいだろう。研究所で教材作成ができない期間になるため、1週間分の配布資料をまとめて作り置きした。そういう意味では、来週は少し楽になりそうである。
2008年8月4日 (月)
■フランス語圏アフリカ手話の言語研修、本日開講!
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所2008年度言語研修「フランス語圏アフリカ手話」が、ろう者と聴者の両方を含む10人の受講生を迎えて、本日開講した。去年の4月3日、研究所の研修事業を統括する先生から、「亀井さん、AA研でアフリカの手話を教えませんか」という1通のメールをいただいた。アフリカの手話を紹介できるだけでなく、世界の多様なろう文化への理解を促し、手話が自然言語だとアピールする上でもまたとないチャンス。そう思って即答でお受けしてから、早1年4カ月。
準備は楽ではなかった。2度の現地調査、初めてのろう者講師招聘、研修事業で前例のない手話動画辞典編集、正書法がない手話言語を何とか文字にして執筆したテキスト。すべての超難題を何とかクリアし、この開講日を迎えた。悪夢にまで見たこの「魔の〆切日」を、晴れやかな気持ちで迎えることができたのも、各位のご助力のおかげである。
受講生の言語経験は、実に多様である。今回とりあげる手話言語はフランス語と深い関わりをもつが、フランス語の既習者もいれば未習者もいる。また、日本手話やアメリカ手話、フランス手話やケニア手話など、何らかの手話言語の経験者もいれば、今回初めて手話言語に接する人もいる。アフリカ滞在歴1年という人もいるが、ほとんどはアフリカ未経験。
それでも、異文化と新しい言語に興味あり!という好奇心の強さは全員に共通している。初日の顔合わせだけでも、十分にそれを感じることができた。
5週間、総時間数100時間のマラソン集中講義。いよいよスタートです。
2008年8月1日 (金)
■日本のろう教育とフォスターの教え
昨日、ろうの先生たちの集会にお呼ばれで、お話をする機会をいただいた(全国聴覚障害教職員協議会のシンポジウム)。日本のろう教育の現場に関わる先生方を前に、アフリカ専門の文化人類学者がどんなお話をするというのか。ちょっと変わった組み合わせに見えるかもしれないが、共通するメッセージはひとつ。「耳の聞こえない教員をもっと育成しよう」。
かつてナイジェリアのイバダンという都市に、アフリカ19カ国から人材を集め、ろう者たちが手話で研修を行い、ろう学校の教員を育成していた民間事業があった。多くのろうの青年たちがその機会を活かし、教員となって活躍した。それが原動力となり、ろう教育不在の西アフリカで急速にろう学校数が増大した(亀井, 2006)。
・資源が乏しいアフリカで、なぜそんなにうまくいったのだろうか?
・どうして、日本やヨーロッパで同じことができなかったのか(つまり、だれが妨げたのだろうか)?
ろう教育の研修事業をやっていたフォスターという黒人ろう者牧師と、その薫陶を受けてともに教育事業にまい進したアフリカの手話話者たちの達成を、日本のろう教育関係各位にご紹介できたことは、アフリカ研究者としてこの上もない喜び。
「アフリカは後れている」? その逆に「アフリカはすばらしい」?
いやいや。ふつうにアフリカを学び、日本と比べるまなざしをもちたいものです。こちらこそ、よい勉強になりました。ありがとうございました。
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なんとも不思議なめぐり合わせ。そう形容するしかない、ある1日の出会いがあった。
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