AACoRE > Laboratories > Kamei's Lab > Index in Japanese
ILCAA
亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

ジンルイ日記

つれづれなるままに、ジンルイのことを
2011年5月

日本語 / English / Français
最終更新: 2011年5月31日
[←前の日記へ][今月の日記へ] [テーマ別目次へ] [月別目次へ][次の日記へ→]

■マイバッグには赤ワインがよく似合う (2011/05/31)
■アフリカ学会2011@弘前大学 (2011/05/23)
■「おもしろさを伝えたい」? (2011/05/14)
■柿の件 (2011/05/10)
■個人情報の大掃除 (2011/05/05)


2011年5月31日 (水)

■マイバッグには赤ワインがよく似合う

名古屋あたりのスーパーは、レジ袋をくれない。くださいと求めると、実費5円を取られる(コンビニは別)。ほかの地域では、「レジ袋を辞退する客に割引をする」ことが多いが、名古屋では、レジ袋を使わない方が標準になっているらしい。「レジ袋不要カード」ではなく、「レジ袋必要カード」が置いてあることからも、それがよく分かる。

これが、引っ越してすぐに気付いた名古屋らしさのひとつ。かくして、毎日、かばんにマイバッグをしのばせて通勤することになる。

もっとも、関東でも関西でも、いつもマイバッグは持ち歩いていた。だから、私にとってとくに新しい習慣というわけではない。ただし、持参し忘れると5円損する、と思うから、必須感が若干強まるような気がする。

さて。マイバッグには赤ワインがよく似合う、と思う。大根やネギやごぼうが袋からはみ出ているのも、なかなかいい感じではあるけれど。瓶がちょこんと首を出しているというのであれば、やっぱりワイン、しかも赤にかぎる、と思う。

なんでそう思うのだろうと、胸に手を当てて考える。たぶんその原風景は、幼い頃に読んだ『赤ずきん』の絵本か何かである。森の中のおばあさんの家に届ける「赤いぶどう酒」が、かごからちょこんと出ている。ああいうものを持って歩いてみたいなあと、心のどこかでずっと思っていた。ようやくおとなになって、その夢がかなった、みたいな心理かな。

やたら買っても、そんなに飲めるわけじゃない。ちょっとずつ飲んで、なくなったらマイバッグを持って買いに行く。実は、私は、飲むことよりも、赤ワインのボトルをバッグに入れて持ち帰ることの方を楽しんでいるのかもしれない。心のどこかで、ちらりとそう思うことがある。


2011年5月23日 (月)

■アフリカ学会2011@弘前大学

リンゴごはん 日本アフリカ学会第48回学術大会が、弘前大学で行われた。

震災後のたいへんな時期ではあったが、弘前では大きな影響がなかったとかで、予定通りの開催となった。準備に奔走くださった方がた、ありがとうございます。

弘前に行くのは、実は初めて。私は空路で行ったけれど、さっそく新青森まで開通した新幹線を使って弘前入りした人も多かったようだ。

今回の出張での発見は、以下の通り。

・リンゴごはん=学会の昼食の弁当
・リンゴ餃子=ホテルの朝食バイキング
・リンゴケーキ=JR弘前駅の土産物屋で試食、おもわず衝動買い
・リンゴチップ=結局、無難で日持ちするこれが主要なお土産に

ええと。学会の中身の方の話です。

今回は、アフリカにおける少数言語集団の調査の方法、いや、正確にいえば、「マイノリティの支援をしながら調査をあわせ進める技」のような発表をした。今年は転職の忙しさもあって、調査の「結果」についての報告を準備することができなかった。早く中身の発表ができるよう、データの整理を進めないと。

今年は、生物学や農学の発表が多く、人文社会科学系は例年ほど多くはなかったが、あまたある報告の中で、アフリカの携帯電話をめぐるセッションがとくにおもしろく印象に残った。

狩猟採集民が、難民が、遊牧民が、携帯電話を手に入れてつながりあい、しゃべり、金を送り合っている。森の狩猟採集民は、町の人から携帯でどんな連絡を受けるか。電化されていない村の人たちは、どうやって充電するのか。技術に覆い尽くされてしまってはいない社会で、人びとが技術を生活に巧妙に取り込んでいるそれぞれの姿が、かえって新鮮に感じられた。

もうひとつ、この春からアフリカ学会の評議員に推されたので、初めて評議員会というのに出席した。弁当をつついて総会の予行演習のようなことをする。ちょうど3年後の2014年が学会設立50周年となるため、記念事業の準備が始まるのだとか。少しずつ、運営の仕事などを学んでいきたいと思います。


2011年5月14日 (土)

■「おもしろさを伝えたい」?

4月に所属が変わり、「新任教員の自己紹介文を書いてみて」という依頼がいくつかある。学生向けのことばなどを、あれこれと考える。

大学で教鞭を執る同業者たちは、どんな自己紹介を書いているんだろう。ちょこっと調べてみた。それで分かったのは、「○○学のおもしろさを伝えたい」「△△研究の魅力を知ってほしい」という語り口が多いことだった。

はて、と私は首をかしげた。おもしろいと思っているのは、はっきり言って、その教員だけである。というのが、冷徹な事実ではなかろうか。学生の気持ちになって読むと、そんな興味の押し売りをされてもなあ、という気すらするのである。

学生がそのテーマをおもしろがるかどうかは、学生次第。おもしろいと思う感情を、情報として人に伝達することはできない。せいぜい伝えられるのは、「それをおもしろがっている教員が世の中にひとりいる」という事実だけではあるまいか。

今はやりの『もしドラ』風に言うなら、「結局、顧客がおもしろいと思うかどうかがすべて、ってことでしょ!」。

素材を示して、選択肢を用意すること。学生がおもしろがり始めるのを待つこと。何か触発が始まったら、とにかく背中を押すこと。教師のすることは、たぶんそれくらいだと思う。

学生に媚びる必要はないだろう。教員は、相も変わらず、超然とそのテーマをおもしろがっていればいいはずである。研究をおもしろがることは、必要条件。でも、十分ではない。伝えるよりも、逆に学生の話を聞こう。と、やはり私は思う。

自分が感じているおもしろさを伝えることに熱を上げるのではなく。私はむしろ、学生から投げかけられることばを一緒におもしろがれる教員でありたいと思う。いかがでしょうか、大学に勤めるご同輩のみなさん。


2011年5月10日 (火)

■柿の件

柿の件、ご協力をどうかよろしくお願いします。
柿の件、ぜひご検討ください。
柿の件、お返事をいただいていませんが、どうされましたか。
柿の件、至急ご連絡をたまわりたく。
柿の件、これを最終の通告とさせていただきます。
柿の件、お返事がなかったのでキャンセルと見なさせていただきました。

柿、柿、柿…。別に、柿には恩義も恨みもないはずなのに。いったい、私は柿について何をすればいいというのだ。

実は、「下記の件」。よくあるかわいい誤字である。思わず、法隆寺の五重塔が目に浮かぶ。初夏に出会った、季節外れの誤変換。

さて。柿の件、取りかかりますか。一気に片付けてしまおう。ゴーン…(法隆寺の鐘の音)

#本欄の文例はいずれもフィクションであり、実在の人物や出版社や原稿や〆切とは関係ありません。


2011年5月5日 (木)

■個人情報の大掃除

この連休は、ずっと「個人情報の大掃除」をしていた。

4月に転職と転居をした。それに伴って、住所やメールアドレスなどの連絡先が、いっぺんに変わった。仕事関係のほか、銀行、クレジットカード、学会や各種会員登録、メールマガジンにメーリングリストにSNSなど、ひととおりの変更手続きをしなければならない。ちょっと時間ができた連休中に、ありとあらゆるところにログインしまくって、しらみつぶしに住所などの変更手続きをした。

愕然としたのは、その数の多さ。数えていないけれど、もう、うんざりするぐらい多かったですよ。

(…私は、いつの間に、こんなに方々でログインして、個人情報を書き散らしていたのか…)

「しがらみ」というのを目に見える形にしろと言われたら、おそらくこの山のことを指すに違いない。

中には、ここ何年もログインしておらず、自分で決めたはずのパスワードを思い出すのに苦労したものもある。一方、登録していることすら忘れていたメルマガを再発見することもあった。何年間も、1通も届いていないのだ。そういうホコリをかぶったメルマガやメーリングリストの類は、即座に登録解除。

はっきり言って、めんどうくさい。しかし、片っ端から片付けていくと、大掃除をしているような快感を感じるようになる。変更先の新アドレスに連絡が届き始めると、新しい用水路にぶじ水が通い始めたような達成感がある。

ついでに古いしがらみが整理され、スリムになった。やっぱり、こういうことはめんどうでも、時どき自分で整理するのがいいんでしょうね。

(めんどうくさいから、だれかまとめてやっといてよ!)

そう叫んだ瞬間、個人情報の守護神の顔をしただれか(Big Brother さま)がやってくるのだろう。めんどうでも、自分の手でやるしかないのです。

「個人情報の定期大掃除」。これ、みなさんにもお勧めしたいと思います。毎年の年度末などに、いかがですか?

[関連日記]
■Researchmap への参入 (2010/05/08)



矢印このページのトップへ    亀井伸孝日本語の目次へ

All Rights Reserved. (C) 2003-2013 KAMEI Nobutaka
このウェブサイトの著作権は亀井伸孝に属します。