AACoRE > Laboratories > Kamei's Lab > Index in Japanese
ILCAA
亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

ジンルイ日記

つれづれなるままに、ジンルイのことを
2018年12月

日本語 / English / Français
最終更新: 2019年1月4日

[←前の日記へ][今月の日記へ] [テーマ別目次へ] [月別目次へ][次の日記へ→]

■2018年を振り返る (2018/12/31)


2018年12月31日 (月)

■2018年を振り返る

あっというまに年の瀬です。3月に、1年間の在外生活から戻り、日本社会と職場に再適応するので終わってしまった感がある。

■今年の研究業績

□三大主要学会で「アフリカ子ども学」
昨年の在外研究中に、昭和堂『子どもたちの生きるアフリカ』が刊行されました(2017年10月)。その直後の1年ということで、今年は大きな学会で、3回にわたって分科会をしました。

日本アフリカ学会(5月、札幌)日本文化人類学会(6月、弘前)、そして国際開発学会(11月、つくば)。私にとっての三大主要学会の大会すべてで「アフリカ子ども学」のセッションを組み、同書の共著者のみなさん、さらに新しいメンバーも加えることで、有意義な議論を重ねることができました。本の宣伝も、もちろんしました。

□初めて南米へ!
もうひとつは、国際人類学民族科学連合世界大会で、ブラジルへ(7月、フロリアノポリス)。人生で初めて、南米を訪れました。授業期間中だったので、強行軍で1週間強の旅程を組んで行ったのですが。地球半周の往復の旅は、やはり遠かった…。

□刊行されたもの
刊行物としては、在外研究中に書き上げたものとして、フランスとアメリカの人種と人種主義をめぐる博物館展示に関する論考を民博の雑誌に掲載していただいた(6月)。こういった諸外国での人類学者らによる社会への関与に勇気づけられるような思いで、このテーマで発表したり、授業で紹介したりすることがありました。

この他、昨年からの繰り越し事業であったが、分担執筆した丸善出版の『国際開発学事典』が刊行されたこと(11月)。また、昨年の在外中に刊行された朝倉書店『手の百科事典』(2017年6月)、帰国後に実物を手にしたのもうれしかったし、主要な編集委員の方がたと再会して刊行のお祝いができたのも幸いだった。

■大学の教育面では

□大学院教育への関与増大
教育の面では、とにかく帰ってきて、バタバタと荷解きをする間もなく授業が始まり、フル稼働が始まったのですが。とりわけ、今年度から、毎年恒例の「文化人類学研究」に加えて、大学院博士前期課程の必修科目「国際文化論」を分担したことが大きかった。

日本文化専攻/国際文化専攻の両方の院生を受け入れ、かつ、文学から歴史学から教育学から考古学から宗教学から、多岐にわたる専攻の人たちを前に、必修科目で何を用意して教えるか。これは、非常に教育者として問われることであったし、また、現在の院生におけるニーズを探りながら研究支援を考えるという一種のフィールドワークのような経験でもありました。

結局、ほぼ全員に共通するであろうニーズとして、書評の執筆スキルのトレーニングと、それを通じた調査倫理、研究者の社会的責任について議論する講義を組み立て、オプションで、学会ポスター発表のスキル支援のようなことをやってみた。前期の2か月くらいの授業での取り組みがいろいろと功を奏して、院生のニーズ聞き取り調査、大学院教育の将来構想検討、研究所による院生支援事業、院生ポスター発表会の実現、研究所の雑誌における書評コーナーの新設など、さまざまな副産物が生まれてきた。その分、仕事は忙しくなったものの、学内の研究環境の活性化には成功したのではないかと思っている。出発前に助言をした院生が、国際学会で賞を取って帰ってきたという朗報もあった。

□学部教育の方では
ゼミの再開、授業の再開。初夏にはフィールドワーク実習を実施(5月、大須)、ポスター発表会を開催。後期には写真展をやり、映像制作ワークショップを仕掛け、と、一昨年と同様の事業で忙しく。「プロジェクト型演習」のこれまでの担当教員たち6人で共著論文をまとめたのも、ひとつの達成となった(印刷中)。

■おもな行事
大がかりなものとしては、イオンモール長久手での「旅の写真展」(10-11月、長久手)。国際関係学科恒例の写真展を、学外で実施した。折衝から下見から素材選びから資材レンタルから設営から広報から撤収から経理から、何から何まで相当苦労もしましたが、学科発足10年目のパーティとも重なって、盛大に開催できました。

また、フランス映画『ヴァンサンへの手紙』の関連企画を実施(12月、名古屋)。1時間と短い行事であったが、コートジボワール、フランス、ベルギー、ケベックと、世界のフランス語圏を渡り歩いてきたこの1年間を、手話でろう者の市民のみなさん向けに報告する機会をもてたのは幸いだった。

■暮らしぶり

□フランスから日本へ
今年の3月までは、在仏生活。人類博物館、ケ・ブランリ博物館、パリ第8大学、ストラスブール大学、ロンドンのSOASと、お声がかかったところにはどこでも出かけて、発表をさせてもらった。

帰国直前の引っ越し作業中に、右膝に痛み。帰国後、その痛みが増して、病院にかかり始め、治療や静養を続ける半年を過ごしていた。幸い、授業を休むほどの重症には至らなかったものの、全般的に遠出を控え、夏も海外調査を入れず、いくつかの学外の仕事を辞退して、学会のような大きな用事以外は「少し出不精」の日本生活となっていた。

□滞在国数: 6(フランス、ドイツ、イギリス、ポーランド、日本、ブラジル)

□飛行機搭乗回数: 13

□ついと記録
今年訪れた節目の日:
2018年2月13日 10,000フォロワー
2018年12月6日 11,000件目のツイート
2018年12月27日 15,000フォロワー

2018年12月31日時点で:
ツイート 11,161
フォロー 465
フォロワー 15,132

この1年間も、ずいぶん多くの方に見ていただきました。私にとっては、呼吸のようなもの。日々のことばを吸い、ことばを吐き、時どき毒気を吸ったりむせ込んだりして、呼吸困難にも陥るのですが、それでも、静かにマイペースでことばの呼吸を続けています。2009年の12月に開始して、早9年。たぶん、10年目も、のろのろとことばを吸って吐きながら生きていくのでしょう。

お引き立てくださいましたみなさまに感謝しつつ、本年を終えゆきます。みなさまよいお年を。



矢印このページのトップへ    亀井伸孝日本語の目次へ

All Rights Reserved. (C) 2003- KAMEI Nobutaka
このウェブサイトの著作権は亀井伸孝に属します。