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発表要旨
最終更新: 2007年3月19日

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関学COEワークショップ「多文化と幸せ」
2005年1月24日

「ミグリチュード人類学と『幸せ』: 多文化社会ハワイにおける沖縄系移民のダンスとミュージアム」
城田 愛 (日本学術振興会, 国立民族学博物館)

キーワード:ハワイ沖縄系移民社会、集団舞踏、博物館展示、ミグリチュード人類学


■発表の要旨
「ハッピイ&ヘルシイ」をキーワードに、わたしは、からだとこころが動かされるダンスの場、そして、ミュージアムというモノの劇場におけるフィールドワークを続けてきている。生きていることをもっとも実感できる機会のひとつが踊りであり、人の生きる術が想像力・創造力をともなって喚起される場所が、過去、現在、未来へと繋がるような生活者の営みをとりあげた展示が創出されていく現場である。

本発表では、具体的には、1900年以降、沖縄からハワイへ移民した人びとによる集団舞踊、および沖縄系移民に関する展示を有した博物館や文化施設をとりあげる。先住民と各地からの移民とその子孫たちが暮らすハワイの沖縄系移民たちは、「オキナワン」として、日系とは別個のアイデンティティを強調する傾向がみうけられる。この現象がヴィヴィッドにあらわれるのが、「オキナワン・ボン・ダンス/エイサー」の舞台と沖縄系移民に関する展示ディスプレイである。

沖縄には、「良いこと」をあらわす慣用句として、「ハワイやっさー(ハワイのようだ)」という言いまわしがあるように、ハワイへの移民は、富みや幸せを手にする手段のひとつとしてとらえられてきた。より良い生活を求めて移民する、異郷(または帰郷した故郷)で幸せになる道程とは、移住者たちの生活力とはどのようなものなのだろうか。

これらの問いを、踊りとミュージアムの場から考察し、移住者たちの生活史と、在日沖縄系三世としての自分史が重なっていくような「ミグリチュード人類学」を立ちあげることの可能性について考えてみたい。そうして、移住者自身やその末裔である人類学者の参画から、調査する側/される側、展示する側/される側といった二項対立的な関係をより多角的、多声的にひろげていけるようなミグリチュード人類学を提唱する。

ハワイと日本における「多文化と幸せ」の比較もおこない、フィールドワークから学びえたことを、「ホームワーク(課題)」へと繋げていく実践の試みとして、わたしが携わった展示制作(横浜のJICA海外移住資料館と国立民族学博物館の特別展示「多みんぞくニホン:在日外国人のくらし」)についても紹介する。

■参考文献
CLIFFORD, James. 1997 [2002]. Routes: Travels and Translation in the Late Twentieth Century. Harvard University Press (『ルーツ:21世紀後期の旅と翻訳』毛利嘉孝、有元健、柴山麻紀、島村奈生子、福住廉、遠藤水城訳:月曜社).
笠間知浪. 1993.「イスラム系女性移民のイミグリチュードの地平: イギリスの事例から」『ヨーロッパとイスラム:共存と相克のゆくえ』梶田孝道(編). pp. 110-130, 有信堂高文社.
SHIROTA, Chika. 2002. Eisaa: Identities and Dances of Okinawan Diasporic Experiences. In Okinawan Diaspora, Ronald Y. Nakasone (ed.), pp. 120-129, Honolulu: University of Hawai'i Press.
城田愛. 2004a.「ミグリチュードから視る『人類館事件』と演劇『人類館』」『けーし風 新沖縄フォーラム』42:18-19.
城田愛. 2004b.「ハワイの日系・沖縄系移民社会の歩みと動き:博物館にみる生活文化の過去、現在、未来」『ハワイ研究への招待:フィールドワークから見える新しいハワイ像』後藤明・松原好次・塩谷享(編). pp. 249-260. 関西学院大学出版会.
城田愛. 2004c.「オキナワンの踊りと音楽にみるハワイ社会:エスニシティの交差する舞台から」『ハワイ研究への招待:フィールドワークから見える新しいハワイ像』後藤明・松原好次・塩谷享(編). pp. 249-260. 関西学院大学出版会.
矢口祐人. 2000.「弁当からミックス・ランチへ:博物館とハワイ日系移民史の表象」『地域研究論集』3 (1): 59-73.
■参考サイト
発表者のサイト
ハワイ沖縄連合会・ハワイ沖縄文化センター
移住先各地にも支部がある琉球國祭り太鼓
ハワイの住民・住居に関する展示
「弁当からミックスプレートへ」
沖縄県博での「弁当展」
南風原文化センター
大阪人権博物館
JICA海外移住資料館
民博の特別展「多みんぞくニホン在日外国人のくらし」

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