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亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

NHK「あさイチ」
スゴ技Q「意外なパワー続々 そんな"バナナ!"」バナナ料理

NHK総合テレビ
2015年3月31日(火)8:15〜 放送

日本語 / English / Français
最終更新: 2016年2月6日

本ページは、番組を補足するサポートページです。

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■補足記事:番組で触れられなかった項目を、おまけとして

■『愛知県立大学外国語学部年報』に報告記事 (2016/02/06)

『愛知県立大学外国語学部年報』(2015年度) に報告記事を掲載(内容はこちら)。

■テレビ視聴と学科ブログ閲覧のお礼 (2015/11/12)

国際関係学科学生ブログ
2015年3月31日朝9時すぎ頃に、ぶじに放送。私はその時、海外調査中だったので、参加した学生たちからの報告を受け、自分は帰国してから録画を見ました。

いえ、なんか散らかった研究室で、アホなことを大まじめにやっている私たち。でも、まあ、楽しそうな雰囲気だけは伝わったかなと思います。

宣伝効果その1。国際関係学科の学生ブログへのアクセスが激増しました。右がその翌日に見たアクセス数の記録ですが、通常は50-70人/日の訪問者であるところ、その日だけは247に。だいたい4-5倍に激増しました。その後もしばらく、ブログ閲覧者の数は高い水準で推移しました。うむ、おそるべし、全国放送。

宣伝効果その2。一週間後に、国際関係学科に60人の新しい学生たちが入学したのですが、その大多数が、ツイッター他でこの放送のことを知り、入学前の「予習」として見てくれていました。うれしかったので、4月の私の初回のオムニバス講義では、授業を1コマつぶして「バナナ料理教室」にしてしまったほど。もちろん、新入生全員「しゃもじ持参」での実習です。

こういったにぎやかさが、少しでも大学の外に伝わって、この学科を第一志望の目標にして勉強してくれる人たちが少しでも増えてくれたら…。そんなことを考えて、私はまた次のネタとチャンスを探し、厚かましく実践していきます。

みなさま、テレビ視聴、学科ブログ閲覧、そのほかの形で愛知県立大学国際関係学科に関心をもってくださり、ありがとうございました。

■授業で料理、課外で料理 (2015/03/30)

大学の研究室で料理をしているということに、驚かれる方もいるかもしれません。珍しいのか、ありふれたことなのか、よく分かりませんが、私は私で自己流でいきます。

京都で学部生、大学院生であった頃は、所属研究室のゼミ室で、よくご飯を作って食べていました。冬になるとおでんを仕込む先輩がいましたし、お雑煮を作って年越しをしたこともあります。

大阪の大学に勤めていたときは、ゼミ生たちとタコパ(タコ焼きパーティ)をしました。さすが大阪、学生たちからタコ焼きのあざやかな返し方を学びました。愛知に転職してからも、お好み焼き、ワッフル、ホットク(韓国の甘い焼きまんじゅう)、手巻き寿司などのパーティをしました。留学生たちが来た時に、お互いに得意料理を教え合ったりすると、なお楽しい集いになります。

アフリカを学ぼうという意図を込めて、アフリカの食材で料理をすることもあります。料理用バナナのほか、ヤムイモやキャッサバ、トウモロコシの粉を用いて、「お湯で練って食べる」もっちりした主食を、学生たちと一緒に作って食べたりします。時には、授業で。時には、課外の集まりで。

(こちらの 愛知県立大学広報動画 (YouTube) の後半1/4あたりで、国際関係学科の恒例行事「フィールドワーク・フェスタ」でヤムイモ料理を楽しんでいる場面をご覧いただけます)

文化を学ぶ基本は、「ことばと食」だと私は考えています。人間はことばで集団を作り、食文化をさまざまに発明することによって、世界中に拡散し、各地の環境のなかで生活することができるようになりました。

フィールドワークで実際に現地に学びに行ければいいのですが、学生をみなアフリカに連れて行くことはなかなか難しいので、せめて食べ物の作り方と食べ方くらい教室で再現してみよう、というわけです。きれいに手を洗い、アフリカらしく素手でいただきます。味も匂いも手触りも含めて、「五感のすべてを活用して学ぶ」のが、フィールドワークの基本。おかげさまで、学生には好評です。

■アフリカの主食って何でしょう (2015/03/30)

アフリカの人たちは、毎日バナナばかり食べてるの?と聞かれることがあります。

実は、ある側面では、その通りです、と言えます。はっきり言って、朝昼晩と「三食ともバナナばかり食べている」という生活を、私自身も経験したことがあります。その結果、体重が減ったので、ダイエットにはよいかもしれないな、と思った日々でした。

ただし、これは、アフリカ全体を表してはいません。アフリカは広大な大陸であり、主食もさまざまなのです。

まず、イモ類が豊富です。ヤムイモやキャッサバなどは、ありふれた主食としてよく用いられます。また、発酵させたり加工したりした食品も豊富です。わたしが大好きな発酵加工食品として、コートジボワールのアティエケ(キャッサバの粒つぶパスタ)、カメルーンのバトン・ドゥ・マニョック(キャッサバちまき)などがあります。ぷうんと漂うすっぱい発酵の香りが、食欲をそそります。もちろん、好き嫌いはあるでしょうけれど。

穀物もいろいろと用います。トウモロコシやコメ、その他の雑穀の栽培は盛んです。また、ジャガイモやサツマイモも、よく食べます。さらに、とくに都市部では、パンやスパゲティもありふれた主食となっています。北アフリカから伝わったクスクス(粒つぶのパスタ)、そして最近では、中国やタイから輸入されたインスタントラーメンもスーパーに並んでいます。本当に、アフリカはひとことでは語れない。

アフリカにおいては、主食となる食材を、臼や杵、すりこぎなどで練って食べることが多いです。バナナ、ヤムイモ、キャッサバ、トウモロコシ、サトイモ、いろいろな食材を潰し、練って、ねっとりとしたお餅かそばがきのようなものにして、ソースなどとともにいただきます。

西アフリカのトーゴで聞いた話です。ヤムイモが多く採れる季節には、それをたっぷり使ったお餅をついて食べます。しかし、ヤムイモがあまり採れない季節になってくると値段が高くなり、仕方ないから、味が少し落ちるけれどもキャッサバを多めに混ぜて練るのだ、と言います。季節によって、お餅の味が少しずつ変わっていくのだと。

東から西まで。アフリカの各地で、ぺたぺたと杵でついて練ったお餅のような主食が好まれています。どの季節に何の食材を用い、どの道具で練って、どのようなソースやおかずと組み合わせて食べるのか。訪ねて教わって歩くだけで、取り組みがいのある重要な調査になります。これでもだいぶ食べ歩きましたが、私もまだまだ勉強途上です。

■バナナとトマトとオクラ、三大陸が出会った一皿 (2015/03/27)

詳しくは、番組を見ていただきたいと思いますが。バナナとトマトとオクラという三つの素材を使った一皿には、壮大な歴史があります。

この中で、アフリカ原産の栽培植物は、オクラです。驚かれる方もいるかもしれません。かつお節と醤油の味がよく合うこの植物は、何となくアジア系の野菜だと思われるかもしれませんが、実は遠くアフリカに発祥し、日本まで届いた作物なのです。アフリカの人たちは、このネバネバが大好きです。

(ちなみに。「クラ」というか、「オクラ」というか。地域によって微妙に発音が違うことが、わたしにはおもしろく感じられます)

バナナは、実はアフリカ原産ではなく、東南アジアで栽培化された植物です。広く世界の熱帯地方に伝播し、今日ではアフリカやラテンアメリカでも欠かせない食材となっています。

トマト。これは、南米のアンデスを発祥の地とする作物です。中南米を植民地化したスペイン人が手に入れてヨーロッパに持ち帰ってから、世界に広まったとされます。

航海、通商、侵略、植民地化。さまざまな世界史を経るなかで、栽培植物は人間とともに移動し、各地の食材として実り、また食卓を彩ってきました。ご紹介する一品は、まさにアフリカ、アジア、南米の三大陸の世界史が出会う一皿なのです。

なお、バナナとトマトとオクラの色は、黄、赤、緑です。偶然ですが、この三色は「汎アフリカ色(Pan-African colors)」と呼ばれています。アフリカの多くの国ぐにの国旗が、この三色を基調としてデザインされています。

これらは、もとはと言えば、エチオピア帝国の国旗の色でした。19世紀末、アフリカのほとんどの王国がヨーロッパによって侵略、植民地化される中、エチオピアは、侵略されることなく独立を守り通した数少ない国のひとつとして知られています。20世紀中葉、アフリカ諸国が独立を果たしていく中で、エチオピアの国旗の三色が参考にされ、多くの国ぐにによって国旗に取り入れられていきました。

たまたまですが、この料理は、アフリカの植民地化と独立のうねりを思い起こす三つの色(黄、赤、緑)を兼ねそなえた一皿となりました。

■アフリカでのバナナの食べ方 (2015/03/27)

現地では、どうやって食べるんですか?と聞かれます。答えは、いろいろです。

油で揚げたフライドバナナのほか、ゆでて主食にしたり、ゆでたバナナを臼と杵でついてお団子にしたり。町の路上では、バナナチップを売っています。皮を剥いたバナナをたき火にくべて、焼きバナナにすることもあります。

なお、焼きバナナはかなり乾燥しているので、それだけで食べると、のどが詰まりそうになります。スープか何か、のどをうるおすものがあるとよいでしょう。

フライドバナナは香ばしくておいしいのですが、油っこいので、ダイエットが気になる方には、ゆでバナナをお勧めします。バナナは自己主張しない包容力の高い主食なので、どんなソース、おかず、付け合わせでもよく合うのです。

ぷるんと弾力あるみずみずしい熱あつのゆでバナナに、トマトソースを添えて。時にはイモムシのおかずとともに。甘酸っぱいヤシ酒や、香ばしいキャッサバの焼酎などとともにいただくと、さらによし。すてきな、アフリカ熱帯雨林の食卓です。

■バナナ食とダイエット (2015/03/25)

「バナナ料理は身体にいいんですか?」と聞かれることがあります。

以下は、栄養学的なこととしてではなく、アフリカでバナナを食べて暮らしてきたわたし個人のいち体験として読んでください。

まず、バナナ食を続けていると、繊維が多いせいか、お通じがとてもよくなりました。細かいことは言いませんが、まさに快い毎朝を迎えることができました。

ふたつめ、過食しないという面があります。大ぶりのバナナ1本で、おとな2人分くらいの主食になります。意外にすぐにおなかにたまり、満腹感が得られます。フライドバナナにすると少しカロリーが高めになるかもしれませんが、気になる人は油を使わず、ふかしバナナか煮っ転がしにするとよいと思います。

みっつめ、その満腹感ゆえか、わたしの経験では、体重が減っていきました。1か月、いっさいコメを炊かずにバナナだけで暮らしたことがあります。その結果、体重が10キロほど減りました。さすがに、熱帯アフリカで暮らしていて体重が減りすぎるのもいけないと思い、コメを炊くようにしたのですが、そんな効用もあるのかもしれません。

もちろん、科学的な根拠を伴った検証をしなければなりませんが。「バナナ料理は過食を抑え、お通じとダイエットに効く側面があるかもしれない」と、経験から記しておきます。栄養学者の説明を待ちたいと思います。

■学生主体の広報活動から生まれた企画 (2015/03/25)

今回出演した、愛知県立大学の6人の学生たちを紹介します。

国際関係学科3年生: 石井俊、松尾多菜
国際関係学科2年生: 紀和季節、小林さくら、鈴木孝司
国際関係学科1年生: 児玉あゆみ

石井俊さんは、国際関係学科「学生オリジナルサイト」の管理人、紀和季節さんは、国際関係学科「公式学生ブログ」の委員長(今年度末まで)。いずれも、この学科の学生広報部のコアメンバーです。

国際関係学科は、学生が自由に表現することを尊重していて、学生主体の広報活動を応援しています。こういった活動を通じて、学科のことを多くの人たちに知ってもらうことができ、また、学科の中でも学年をこえたタテのつながりができて活性化していきます。

今回の取材も、学生たちがバナナ料理の体験をウェブサイトやブログで紹介していたものが、バナナの話題を探していたNHKのスタッフの目に止まったというわけです。学生主体の広報活動から生まれた企画でした。

大学のことは、学生が語るに限る。そう思います。これからも、学生たちの自由な表現活動を奨励する、特色ある学科を目指したいと考えています。

■バナナ味噌おでん (2015/03/24)

料理用バナナは、イモの感覚で使えます。

私がこれまでいろいろ試した中で、もっとも意外でおいしかったと思われるのは「おでんのネタ」です。皮を剥いて一口大にざく切りしたバナナを、生のまま、あるいは軽く下ゆでして、昆布と醤油のおでんのダシに入れてグツグツと煮ます。やがてほんのり茶色く色づいてきますので、からしを付けながら、おじゃがの感覚でほくほくといただきます。

名古屋近辺には、ダシに赤味噌を入れる「味噌おでん」があります。バナナを味噌おでんに入れてみたときの味わいは、まさに絶品!でした。研究室でバナナ味噌おでんをたいていて、訪れてきた暇な学生に食べさせたりしましたが、これはうまい!と衆目の一致するところでした。赤味噌と料理用バナナのめぐり合わせは、奇跡のようにおいしいです。だまされたと思って、一度作ってみていただけると幸いです。

甘いバナナを想像すると、醤油や味噌との組み合わせは「最悪」だと思われるかもしれません。しかし、甘くない料理用バナナと和風の味付けの相性は、非常によいのです。ぜひ試してみてください。

■学生たちが考えた創作バナナ料理 (2015/03/24)

愛知県立大学の国際関係学科で、料理用バナナがはやり始めて、3年ほどになるでしょうか。

この間、学生たちが考案したり、挑戦したりしたメニューを、いくつか紹介します。

・うすくスライスして油で揚げ、塩を少々ふった「バナナチップ」。
・揚げた後に、甘い蜜をからめてゴマをふる「大学バナナ」。
・ゆでた後、マヨネーズとコショウで仕上げる「バナナサラダ」。
・衣を付けて揚げる「バナナの天ぷら」。
・このほか、カレーやシチュー、豚汁に入れた人もいました。

ぜんぶ、いけます! 料理用バナナは、まさに「おいも」なのです。

まだやっていないのは、牛肉と醤油で煮付ける「肉バナナ」、ホクホクにふかしてバターをたっぷり「バナナバター」。

バーベキューの時に網で焼いたり、アルミホイルでバターと一緒にいろいろくるんで焼いてみたりしてみても楽しそうですね。

創作バナナ料理、いろいろと考えてみましょう!



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