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亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

『遊びの人類学ことはじめ: フィールドで出会った〈子ども〉たち』

亀井伸孝編
京都: 昭和堂
2009年6月30日

日本語 / English / Français
最終更新: 2014年11月26日

遊びの人類学ことはじめ

サルも遊ぶ、ヒトも遊ぶ。

人類学のまなざしで両者を観察してみたら何が見えてくるだろうか? 種の違いを超えた普遍性とは?

そこには現代に生きる子どもを考えるためのヒントが隠されているかもしれない。

(目次より)
人の遊びをどうとらえるか: 遊び論の二つの系譜
遊び研究の〈むずかしさ〉と〈おもしろさ〉: 動物行動学からみた系譜
森に遊び森に学ぶ: 狩猟採集民の子どもの遊び
ニホンザルの遊びの民族誌: 金華山・嵐山・幸島・志賀高原のコドモたち
人間らしい遊びとは?: ヒトとチンパンジーの遊びにみる心の発達と進化
いまの子どもは本当に遊ばなくなったのか: 野外体験にみる子どもたちの遊び ほか
長崎県立長崎図書館ニュースレター『いしだたみ』で紹介 (2014/11)
『遊びの人類学ことはじめ』重版決定! (2013/01/29)
日本野外教育学会で招待講演 (2010/06/19)
日本野外教育学会ニュースレターで紹介 (2009/10)
『日本経済新聞』日曜朝刊の書評で紹介 (2009/07/19)
好評発売中

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■書誌情報・著者
■リンク
■書評
■ちょっと立ち読み
■本書に登場するおもな人物と動物
■もくじ
■関連日記(ジンルイ日記から)


■書誌情報・著者

タイトル: 『遊びの人類学ことはじめ: フィールドで出会った〈子ども〉たち』
編者: 亀井伸孝
出版社: 京都: 昭和堂
発行日: 2009年6月30日
言語: 日本語
サイズ・形式: 四六判/縦組/224ページ
定価: 2,400円+税
ISBN 978-4-8122-0935-6

【編者】
亀井伸孝(かめい・のぶたか)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員。専門は文化人類学・アフリカ地域研究。おもな著作に『アフリカのろう者と手話の歴史』(明石書店、2006年、2007年度国際開発学会奨励賞受賞)、『アクション別フィールドワーク入門』(世界思想社、2008年、武田丈と共編)、『森の小さな〈ハンター〉たち』(京都大学学術出版会、2009 年〔近刊〕)ほか。→ [編者の個人ページへ]

【共著者】
島田将喜(しまだ・まさき)
帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科講師。専門は人類学、相互行為論、遊び学。おもな著作に「似て非なる者へのまなざし――サルとヒトの生態学から見る猿田彦の成立」(『猿田彦大神フォーラム年報 あらはれ』第9 号に所収、2006 年、第8 回「猿田彦大神と未来の精神文化」研究助成論文〔一席〕)、「世界中の子どもたちが鬼ごっこをするのはなぜか」(『チャイルド・サイエンス』Vol.2 に所収、2005 年、第1 回チャイルド・サイエンス懸賞エッセイ、子ども学大賞受賞)など。→ [著者の個人ページへ]

明和政子(みょうわ・まさこ)
京都大学大学院教育学研究科准教授。専門は比較認知科学、発達心理学。おもな著作に『なぜ「まね」をするのか』(河出書房新社、 2004 年)、『心が芽ばえるとき――コミュニケーションの誕生と進化』(NTT 出版、2006年)など。→ [著者の個人ページへ]

川村協平(かわむら・きょうへい)
山梨大学教育人間科学部教授。専門は野外運動学、野外教育、野外レクリエーション。おもな著作に『幼児キャンプ――森の体験』(春風社、2001 年、山田英美と共編)、『幼児キャンプ――雪の体験』(春風社、2004 年、山田英美と共編)、『野外活動――その考え方と実際』(杏林書院、2001 年、日本野外教育研究会編)など。→ [著者の個人ページへ]

(編者・著者の肩書きは発行日当時のものです)


■リンク

【発行元】
昭和堂トップページ

昭和堂: 人類学分野(『遊びの人類学ことはじめ』を含む)

【書店】

Amazon『遊びの人類学ことはじめ』

【共著者の個人ウェブサイト】

亀井伸孝: 「亀井伸孝の研究室」

島田将喜: 「遊びの研究室: 野生ニホンザル・チンパンジー・ヒトのコドモを観察して分かったことから」

明和政子: 「明和政子研究室: 人間の心の発達と進化の道すじを探求する」

川村協平: 「川村協平研究室」

【本書に出てくるウェブサイト一覧】

動物行動の映像データベース
→ 本書「ニホンザルの遊びの民族誌」に出てくるコドモたちの遊びを、実際の映像で見てみよう!

The Association for the Study of Play(遊び研究学会、英文)

子どもの遊ぶ権利のための国際協会・日本支部

嵐山モンキーパークいわたやま


■書評

『遊びの人類学ことはじめ』をご紹介くださりありがとうございます。著作権の関係上、全文の掲載はできませんが、一部をご紹介することで編者からの謝意に代えさせていただきます。また、すべての書評などをカバーできておりませんことにつきご容赦ください。

■長崎県立長崎図書館『いしだたみ』No.173 (2014/11)
『遊びの人類学ことはじめ』

(編者) 亀井伸孝 (発行) 昭和堂 2009.9

この本は4人の文化人類学者たちが自ら日本やアフリカでサルを観察したり、人間の子どもと一緒に遊んだりして、その"遊び"を研究している。編者は「子どもに学び、動物に学ぶことで、私たちは人間のおとなを中心とした世界の見方を少しずらすことができる(本文抜粋)」と述べている。

「資料紹介: 子どもの遊び今昔: 江戸時代〜昭和初期」『県立長崎図書館だより いしだたみ』(長崎県立長崎図書館) 173 (2014年11月). p.3.

長崎県立長崎図書館『いしだたみ』

■『自然・ひと・体験』(日本野外教育学会ニュースレター) 49号 (2009)
この本はそれぞれの分野で活躍する4人が長い年月をかけて研究した遊びへの思いを綴った素敵な本です。人と猿、アフリカの子どもと日本の子どもに隔たりはなく、遊びは子供が持つ素晴らしい能力なのだと教えてくれました。

遊びといえばいたずらであったり厄介なものと捉えがちですが、読んだ後には子どもが何をどう楽しんでいるのか観察してみたくなりました。
(…)
子どもは大人が思うよりずっと遊ぶ能力を持っていて、子どもを見る大人にこそ遊び心が必要なのではと感じました。

光林紀子

光林紀子. 2009.「図書紹介: 遊びの人類学ことはじめ」日本野外教育学会広報委員会編『自然・ひと・体験』(日本野外教育学会ニュースレター) 49号.

日本野外教育学会

■『日本経済新聞』(2009/07/19)
『遊びの人類学ことはじめ』

人類学、心理学などの研究者による「遊び」研究の入門書。
(…)
子供たちによる色々な遊びは、読んでいるだけで楽しくなる。昔の子供は野原で遊んで健全だったという懐古趣味に対し、そもそも大人の側は「現代の子どもがどのように遊んでいるか、知らないのである」という批判は痛烈。

『日本経済新聞』(2009年7月19日朝刊, 23ページ「読書」)


■ちょっと立ち読み

「はじめに: 遊びを人類学してみよう」

■この本のねらい
この本は、人とサルの遊びを、同じ人類学的な観察のまなざしでとらえてみようという試みとして編まれました。

そこに込められた私たち執筆者の思いは、ふたつあります。ひとつめに、遊びというものをきちんと観察し、学問的にまじめに記述してみるという姿勢を示したいと考えました。ふたつめに、そのようにまじめに記述していても、やはり遊びはなんともおもしろいものだという魅力の側面を示したいと考えました。

まじめに取り組めば取り組むほど、おもしろくなってきて、つい笑いがこぼれてしまう。遊びの研究には、そんな不思議な魅力があります。「遊びを人類学してみる」ことの魅力を、事例とともに具体的に示すことが、この本のねらいです。

■定義しがたい「遊び」
遊びをめぐる研究の最難関は、実は出発点にあります。「遊びとは何か」。これに答えることがきわめて難しいのです。古今東西の研究者たちが遊びを定義しようと試みてきましたが、これが遊びだという明快な答えはありません。つかまえようとするとウナギのようにするりと手から逃げてしまう、遊びにはそのようなとらえがたさがあります。

それにも関わらず、遊びには、見ればそれが「遊びだ」と分かってしまう不思議な明瞭さがあります。これは人の遊びだけでなく、動物の遊びを見ていても分かってしまうものであり、種の違いを越えた共通性が横たわっている可能性があります。

(…)

■本書のおすすめの使い方
この本を、さまざまな方に手に取っていただければと願っています。広く教養を学ぼうとしている学生・生徒のみなさんには、遊びというものを人類学的に学ぶことの魅力に触れていただければと思います。固い学術的姿勢と柔らかい遊びという対象が出会うことの魅力から、知的な触発を得ていただくことがあればと思います。

研究者のみなさんには、それぞれの専門にぜひ「遊び」というテーマを付け加えてみることをおすすめしたいと思います。遊びを概念として正確にとらえることは難しいのですが、現象としての遊びはだれもが見て知っているものです。それらを集めてみるところから、新しい知的活動が芽生えてくるのではと期待しています。

そして、幼稚園や学校で子どもたちとともに働いている先生たち、お子さんをもつすべての読者のみなさんへ。なによりも、この本の遊びの事例の数かずを見て、楽しんでいただければと思います。この本に載っている遊びを、それぞれの学校や家庭で再現して遊んでいただくこともあればと願っています。

読者のみなさんが、時には森の中をかけめぐる子どもたちになり、また時には枝を引っぱって遊ぶニホンザルのコドモたちの気持ちになりながら、フィールドワーカーとして遊びを一緒に楽しんでいただけることがあるならば、執筆者一同これほどうれしいことはありません。私たちがいつもフィールドで遊び心をもちながら、楽しんで調査をしてきたのと同じように。

自分もフィールドで遊びを見てみたい、できればいっしょに遊びたいと思っていただける読者のみなさんに出会うことを楽しみにしています。(→続きは本書で)


■本書に登場するおもな人物と動物

【本書に登場するおもな人物】
プラトン、アリストテレス、スペンサー、グロース、ホイジンガ、カイヨワ、ベイトソン、チクセントミハイ、ベンヤミン、アンリオ、タイラー、柳田国男、ターンブル、ギアツ ほか

みんな、遊びが好きだった!

(特別出演:チョムスキー)

【本書に登場するおもな動物】

ニホンザル、チンパンジー、ヒト、イルカ、カメ、タコ、イヌ、ライオン、ハイエナ、マウス、ラット、ネコ、コイ、シカ、カラス ほか

みんな、遊びが大好き!

(特別出演:コザルに遊ばれる生物学者)


■もくじ

『遊びの人類学ことはじめ: フィールドで出会った〈子ども〉たち』
亀井伸孝編, 2009年, 京都: 昭和堂

【目次】

はじめに: 遊びを人類学してみよう…………………………亀井伸孝

人の遊びをどうとらえるか: 遊び論の二つの系譜…………………………亀井伸孝

遊び研究の〈むずかしさ〉と〈おもしろさ〉: 動物行動学からみた系譜…………………………島田将喜

森に遊び森に学ぶ: 狩猟採集民の子どもの遊び…………………………亀井伸孝

ニホンザルの遊びの民族誌: 金華山・嵐山・幸島・志賀高原のコドモたち…………………………島田将喜

人間らしい遊びとは?: ヒトとチンパンジーの遊びにみる心の発達と進化…………………………明和政子

いまの子どもは本当に遊ばなくなったのか: 野外体験にみる子どもたちの遊び…………………………川村協平

あとがき…………………………亀井伸孝

【目次詳細】

◇はじめに: 遊びを人類学してみよう(亀井伸孝)
この本のねらい/定義しがたい「遊び」/フィールドで遊びを集める/人とサルがいっしょに遊んでいる本/遊び心は種の違いを越えて/本書のおすすめの使い方

◆人の遊びをどうとらえるか: 遊び論の二つの系譜(亀井伸孝)
遊びの総説の難しさ/フィールドワーカーの二つの直感/観察者の側の都合/遊びの普遍論者の系譜/遊びの個別文化論者の系譜/二つのモデルの統合を目指して/ヒトと動物の遊び論の接続/ホモ・ルーデンスふたたび

◆遊び研究の〈むずかしさ〉と〈おもしろさ〉: 動物行動学からみた系譜(島田将喜)
遊びの研究はむずかしい/動物の遊びについて知られていること/動物の遊びをめぐる難問/遊びの研究の進展に必要なもの

◆森に遊び森に学ぶ: 狩猟採集民の子どもの遊び(亀井伸孝)
狩猟採集民は遅れた人びと?/狩猟採集民の遊びを学んでヒトを知る/森の子どもたちの一日/狩猟も採集も一種の遊び/おもちゃの数かず: 即製かつ使い捨て/自然を相手にした競争/ままごとのなかの平等分配/虫捕り: コレクションではなく狩猟のひとつ/少年の遊び、少女の遊び/狩猟採集民の遊び方に学ぶ

◆ニホンザルの遊びの民族誌: 金華山・嵐山・幸島・志賀高原のコドモたち(島田将喜)
サルの遊びを理解するために/ニホンザルとは/遊びの研究とニホンザル/ニホンザルのコドモの活動の概観/どのように遊びの研究を進めるか/ニホンザルのコドモの遊び方 ア・ラ・カルト/嵐山のコドモの「物をともなった社会的遊び」/枝引きずり遊びの地域間比較/サルの遊びの向こうにヒトの遊びを見る

◆人間らしい遊びとは?: ヒトとチンパンジーの遊びにみる心の発達と進化(明和政子)
「遊び」を定義する/比較認知発達科学のアプローチ/人間の社会的遊びの起源と発達/チンパンジーの社会的遊び/野生チンパンジーの子どもの社会的遊び/人間特有の遊びのスタイル/人間の遊びを支える心の発達と進化

◆いまの子どもは本当に遊ばなくなったのか: 野外体験にみる子どもたちの遊び(川村協平)
遊びの思い出/子どもの遊び今昔/学生アンケートから見える最近の遊びと環境/「生活学校」の試み/キャンプ・自然体験教室の試み/現代っ子の遊びのゆくえ

◇あとがき(亀井伸孝)

◇索引


■関連日記(ジンルイ日記から)

■日本野外教育学会での招待講演 (2010/06/19)
■マイ文庫の設置 (2010/04/08)
■『遊びの人類学ことはじめ』発売! (2009/07/11)
■歯車としての著者 (2009/06/12)
■荒涼の校了、寂寥の責了 (2009/06/10)
■第二の天職、校閲 (2009/06/03)
■昭和堂『遊びの人類学ことはじめ』校了 (2009/06/02)
■ゲラゲラゲラ… (2009/04/25)
■野の遊びの研究会 (2006/05/02)


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