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亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

『アフリカのろう者と手話の歴史:
A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』

亀井伸孝
東京: 明石書店
2006年12月25日

日本語 / English / Français
最終更新: 2014年8月16日

アフリカのろう者と手話の歴史

ろう者たちが、かつて世界最大級のろう教育事業をアフリカで展開していた──。

「アフリカろう教育の父」と呼ばれる黒人ろう者アンドリュー・フォスターとその弟子たちが築いた、世界史に類例のない壮大な「ろう者によるろう者のための教育事業」の全容を描く。アフリカ5カ国での10年におよぶ文化人類学的フィールドワークに基づいた、アフリカろう者のエスノグラフィー。

2007年度国際開発学会奨励賞受賞(2007年11月)。

アンドリュー・J・フォスター(1925〜1987)
【Dr. Andrew J. Foster】

アメリカ合衆国アラバマ州生まれのアフリカ系アメリカ人。11歳で失聴する。アメリカのろう者のための大学ギャローデット大学を黒人として初めて卒業した。1957年に西アフリカに渡り、以後31年間にわたってろう学校設立などの事業に従事、アフリカのろう教育の発展に寄与した。1987年、ルワンダでの航空機事故のため62歳で死去。「アフリカろう教育の父」としてろう者たちの尊敬を集めている。

※本書は、2006年度日本学術振興会科学研究費補助金 (研究成果公開促進費: 学術図書「文化人類学」分野) により刊行されました。


■書誌情報・著者

タイトル:『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』
著者: 亀井伸孝
東京: 明石書店
発行日: 2006年12月25日
言語: 日本語
サイズ・形式: A5判/縦組/上製/カバー/256ページ
定価: 2,800円+税
ISBN978-4-7503-2470-8

著者: 亀井伸孝(かめい・のぶたか)
1971年、神奈川県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、京都大学理学博士。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、関西学院大学社会学研究科COE特任助教授。専攻は人類学・アフリカ研究。1996年からカメルーンなどの西・中部アフリカ諸国で現地調査を続けている。
著書に『手話でいこう: ろう者の言い分 聴者のホンネ』(ミネルヴァ書房、2004年、秋山なみと共著)、Hunter-Gatherer Childhoods(Transaction Publishers、2005年、分担執筆)など。
論文に「アフリカの手話言語」(『アフリカ研究』64号、2004年)、「言語と幸せ: 言語権が内包すべき三つの基本的要件」(『先端社会研究』創刊号、2004年)など。

(著者の肩書きは発行日当時のものです)


■リンク

明石書店
アマゾン
Christian Mission for the Deaf


授賞式

■受賞

『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』は、2007年度国際開発学会奨励賞を受賞しました。授賞式は、2007年11月24日に国際開発学会第18回全国大会の会員総会で行われました(沖縄県那覇市、沖縄大学)。
「貴下の右の業績は若手研究者として優れており国際開発学に新しい知見をもたらすものと認められる よって本学会はその規程にしたがい2007年度国際開発学会奨励賞を授与する」

■2007年度国際開発学会受賞作品の決定について (2008/01/15)
アフリカ諸国での手話教育の普及状況に関して、じつに広汎な事例をフィールドワークを通して収集することができた。多くは手話によるインタビューには、多くの困難がつきまとったと推察されるが、その努力は並みたいていのものではない。
(…)
著者の発見したいくつもの真実が読者の胸に素直に伝わってくる。障害と開発という新しい分野のすぐれた研究成果として高く評価できる。
(…)
日本ではほとんど未紹介の分野で、口語と切り離された手話普及の跡付けを行い、その意義を明らかにした点で、本書は学界に新風をもたらすものである。この点に敬意をはらいつつ、著者にさらに特定課題の掘り下げを期待して、若手作品への奨励賞に適わしいすぐれた作品として推したい。[記事の全文を見る]

西川潤(早稲田大学教授; 国際開発学会賞選考委員長)

『国際開発学会ニューズレター』19(1) (2008.1): 17-18ページ.

■国際開発学会奨励賞を受賞して (2008/01/15)
アフリカ諸国のろう学校を訪れ、ろう者たちの間で手話によって語り継がれているさまざまなエピソードを収集した結果、マイノリティ自らによる壮大な教育開発実践の全容が姿を現しました。その歴史は、マジョリティがよかれと思って押し付けてしまうのとは異なる、もうひとつの言語によって営まれてきたエンパワーメントのあり方を私たちに教えてくれます。

今日、ろう者をめぐる世界的な潮流として、聴力の欠損の側面のみでなく、手話という自然言語をもつ言語集団としての側面が重視されるようになりました。拙著が、ろう者をめぐる人間開発の諸問題を少数言語の側面から考えていくためのささやかなきっかけとなればと願ってやみません。また、国際開発研究と文化人類学のコラボレーションを進めていく試みの一事例としてもご参照いただければ幸いです。今後とも、世界各地のマイノリティにおける望ましい開発政策、教育・言語政策を提言していくための研究に、いっそう取り組んでまいりたく存じます。[記事の全文を見る]

亀井伸孝(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

『国際開発学会ニューズレター』19(1) (2008.1): 18ページ.

■関連リンク

東京外国語大学 News & Topics: 2007年度
亀井伸孝非常勤研究員が国際開発学会奨励賞を受賞 (2007-12-12掲載)

東京外国語大学: 顕著な教員活動
亀井伸孝非常勤研究員が国際開発学会奨励賞を受賞

国際開発学会

国際開発学会出版物コーナー
『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』


■書評

『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』をご紹介くださりありがとうございます。著作権の関係上、全文の掲載はできませんが、一部をご紹介することで著者からの謝意に代えさせていただきます。また、すべての書評などをカバーできておりませんことにつきご容赦ください。

■『障害学研究』3
書評 亀井伸孝著『アフリカのろう者と手話の歴史--A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』

シンプルかつ練りあげた構成で、ぐいぐいと惹きこむように話を展開していく。決して一部の特殊なマイノリティの話にしてしまうことなく、私たちはそこから何を読み取ることができるのか、何を学べるのかを、次々と提起する。その内容も深く考えさせられることばかりだ。

澁谷智子(日本学術振興会)

『障害学研究』(障害学会) 3 (2007): 191-200.

■『アフリカの人間開発』(松園ほか編, 2008/03)
縄田浩志・石田慎一郎「『アフリカの人間開発』に関連する読書案内」

亀井伸孝『アフリカのろう者と手話の歴史--A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年)

「低開発アフリカの障害者ですか。さぞかし大変でしょうね」、「アフリカには未発見の手話があるのでは?」といった両極端な周囲の期待、反応を裏切り、乗り越えて、文化人類学に対して、ろう教育に対して、開発政策に対して、歴史法則の解明に向けて、ろう者が主体的に切り拓いた手話による教育を通じた幸福追求の意味を問いかける。

松園万亀雄・縄田浩志・石田慎一郎編. 2008.『アフリカの人間開発: 実践と文化人類学』東京: 明石書店. 324-325.

■アジ研セミナー報告書 (2007/09)
経済開発の枠に収まらない、新たな開発の課題を扱ったアフリカ研究は、近年相次いで刊行されている。
(…)
保健・衛生の分野とも重なりつつ、近年注目を集めているのは、開発における障害者の役割である。
(…)
アフリカのろう者について長期のフィールド調査を行っている亀井伸孝は、近年その成果の一部を書籍として刊行した(亀井[2006])。[論文の全文を見る]

武内進一. 2007.「日本におけるアフリカ開発研究: 日本アフリカ学会を中心に」アジ研セミナー「成長するアフリカ: 日本と中国の視点」(2007年9月10日) 会議報告書. p10.

■『西アフリカ研究会メルマガ』(2008/03)
【西アフリカ関連書籍&ウェブサイト】

本書は日本では極めて珍しい、アフリカのろう者と手話言語を取り上げた書籍である。
(…)
彼(フォスター)がアフリカ諸国でろう学校を建設・運営し、ろう教育に貢献した経緯や、ろう学校の学習者の様子など、アフリカろう教育の変遷と現状などを知ることのできる書物である。

『西アフリカ研究会メルマガ』2008年03月号 No.0018
大阪外大西アフリカ研究会 (GAO [Groupe d'Afrique de l'Ouest])
(2008年4月より「大阪大学アフリカ研究会」に改称)

■『アフリカ研究』(2007/12)
本書を通読したときの第1印象を正直に述べれば(…)私は何度も、「なぜ私はこのような偉人の伝記のようなものを読む羽目になったのか」と思った。
(…)
そのような印象は最終章を読むことによって全く異なったものに修正される。
(…)
すなわち、これらの諸事業が「成功したこと」それ自体の理由は、むしろ、たまたまの客観的状況に求められるのであり、著者がアフリカのさまざまな地域のろう者の人々との交流のなかで見出そうとしたものは、この「成功した」諸事業に関与することを通して彼らが人生におけるどのような新たな可能性を見出し、何を実現してきたのか、ということにあるのだと考えられることになる。

そのような理解を前提にすると、本書を貫いている著者の姿勢の中核にあるものは、徹底的に「当事者」の立場に立つこと、すなわち、「耳が聞こえないことによって人間的な生活を営むうえでのさまざまなハンディキャップを負いながらより充実した生活を築こうと現実の問題に取り組んでいるろう者」という立場に立つことに徹底的にこだわりながら、彼らが実現したものを歴史の中に定着させようとしたのだと考えられる。そうだとすれば、なぜフォスターを偉人のように扱うのかという疑問も氷解する。それは、その活動に関係したろう者たちが彼をそのように扱うからなのである。

北村光二(岡山大学大学院文学研究科教授)

『アフリカ研究』(日本アフリカ学会) 71 (2007.12): 151-152.

■『社会学評論』 (2007/12)
調査自体が、亀井氏以外の誰にもとても真似できるものではない。まずは亀井氏の調査態度とその労力に心より敬意を表したい。
(…)
アフリカで実現された聾教育は、まさに世界中の聾者が望んできた教育そのものであったと考えて差し支えないだろう。

金澤貴之(群馬大学教育学部准教授)

『社会学評論』(日本社会学会) 58(3): 386-387.

■『アフリカレポート』 (2007/09)
アフリカの開発問題を考える上で、本書は多くの示唆に富む。本書が紹介するアフリカの手話教育は、紛れもなく開発の「グッド・プラクティス」である。どのような条件が、それを可能にしたのか。アフリカのろう者は、いかに自らのオーナーシップの下でのエンパワメントに成功したのか。
(…)
アフリカから何を学ぶかという観点に立てば、本書は多くのことを教えてくれる。広く読まれるべき本である。

武内進一(アジア経済研究所アフリカ研究グループ長;『アフリカレポート』編集人)

『アフリカレポート』(アジア経済研究所) 2007年9月号 (No.45): 56ページ (資料紹介).

■『アフリカ』(2007/07-08)/アフリカ協会ウェブサイト
アフリカ人ろう者の自律的でダイナミックな歴史から先進国が学ぶことは多い。

『アフリカ』(社団法人アフリカ協会) 2007年7-8月号 (Vol.47, No.4): 38ページ (書籍紹介).
社団法人アフリカ協会

■『月刊言語』 (2007/06)
言語政策上、非常に示唆に富む事例も多数紹介されている。アフリカとろう者のイメージは、本書で大きくポジティブなものに変わるだろう。アフリカの言語学研究者のみならず、多くの人に読まれて欲しい本である。

森壮也(アジア経済研究所研究員; 日本手話学会会長)

『月刊言語』2007年6月号 (Vol.36, No.6): 116ページ (言語圏α…ことばの書架).

■『いくお〜る』 (2007/04)
アフリカのろう者と手話言語の歴史をテーマにした、日本で初めての貴重な書籍。著者の調査研究による労作だ。アフリカのろう者という言葉から連想されるイメージからかけ離れた、ダイナミックな歴史は驚きだ。[記事の全文を見る]

『いくお〜る』2007年4月号 (No.72): 43ページ.

■日本聴力障害新聞 (2007/03/15)
「世界最大のろう教育事業がアフリカで展開されていた」

「アフリカのろう者」というと、「低開発地域の、耳の聞こえない人」というように、二重の不利益を被る人というイメージを持つ人もいるかも知れない。しかし、黒人ろう者たちは欧米諸国が達成できなかった先進的事業をいくつも成し遂げていたのだ。

『日本聴力障害新聞』(全日本ろうあ連盟) 2007年3月15日 (第687号): 6面.

■池田光穂氏のウェブサイト (2007/03/19)
西アフリカにおけるろう文化に関する広範な著者の研究によって教えられることが多い。イラストや写真も豊富で、読んでいて楽しくなる本である。[記事の全文を見る]

池田光穂(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)

■毎日新聞 (2007/02/18)
健常者ですら飢えや内乱で苦しむ姿ばかり報道されがちなアフリカ。かの地のろう者ともなれば、どんな境遇にあるのか普通は想像もつかない。著者は周到な現地調査で、彼らのなかに健常者とも違う豊かな文化の広がりを見つけた。
(…)
著者は調査のため現地の手話を3種類、覚えたという。行間に、単なる研究書にはない対象への敬意と愛情がにじんでいる。[記事の全文を見る]

『毎日新聞』(全国版) 2007年2月18日朝刊: 11面 (本と出会う─批評と紹介).

■『反障害通信』(反障害研究会) 13号 (2007/02/12)
アフリカのろう教育というと、まずヨーロッパや日本よりも遅れているというイメージを持ちがちなのですが、実は、そうではないというお話です。
(…)
この本ではアフリカの手話の歴史、ろう運動の現状、ろう教育について、細かく分析しています。更に中西部については現地へ飛んでの、文化人類学的基礎的な観点をはっきりもったフィールド・ワーク、フォスターの故郷のアメリカ合衆国への取材も通して、実に細かい分析をしています。これを読めばアフリカのろう者-ろう教育の現状が良く分かります。[記事の全文を見る]
■読書と夕食 (2007/01/18)
本書は、アフリカ諸国においてろう学校を多数設立していったA・J・フォスターの評伝のスタイルをかりてアフリカにおける植民地主義とろう教育の歴史、ろうコミュニティに関する人類学的なアプローチ、また、ろう教育における手話の意義について述べている。
(…)
アフリカでは、植民地主義のために他の世界で主流となっている口話が浸透せずにこの間隙を縫って手話教育が普及していったのである。それは、不幸中の幸いといわねばならない。
(…)
本書は、人間の言語にかかわる様々な事象について改めて考えさせるという点で大変興味深く読むことができた。[記事の全文を見る]


■もくじ

『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』
亀井伸孝, 2006年, 東京: 明石書店

はじめに
用語と表記について

第1章 アフリカのろう者と手話言語

1 ろう者たちのアフリカ
語られないアフリカろう者/ろう者と手話言語/ろう者コミュニティと文化/手話の弾圧から復権へ──ろう者の現代史/人類の故郷アフリカ/アフリカ=超多言語大陸/アフリカのろう者人口、百万人/アフリカ37カ国のろう者団体

2 アフリカの手話言語
アフリカの手話言語地図を作る/すでに命名されている手話言語/まだ命名されていない手話言語/アフリカの手話言語の特徴

3 アフリカにもたらされた外来手話言語
アフリカ27カ国に外来手話が/外来手話言語の特徴/旧宗主国との関わりの薄さ

4 アメリカ手話をめぐる三つの謎
なぜアメリカ手話がフランス語圏アフリカに/なぜアメリカ手話は反発を買わないか/アメリカ人フォスターの足跡を求めて

5 ろう者コミュニティのフィールドワークへ
環ナイジェリア調査構想/手話での調査

第2章 アフリカろう教育の父フォスター

1 ろう者のヒーロー、アンドリュー・フォスター
黒人ろう者のパイオニア

2 アンドリュー・フォスターの生涯
人種別ろう教育の中で/ギャローデット大学初の黒人卒業生/アフリカ伝道の夢/単身アフリカへ/栄誉と事業拡大/悲劇と没後のフォスター

3 ベルタ・フォスターの半生
口話の国ドイツからアフリカへ/アンドリューとの二人三脚

4 フォスターの人物像をめぐって
ヒーローの光と影/新しいフォスター像へ

第3章 ろう者のミッションの半世紀

1 世界最大級のろう教育事業
「さほど暗黒でもない大陸から」/13カ国に32校のろう学校/実現しなかった中南米での大事業/ろう学校設立以外の事業/世界を飛び回るフォスター

2 CMDの三つの時代区分
学校数の安定期と急増期/第1期・英語圏2カ国での教育(1957〜1974)/第2期・フランス語圏11カ国への拡大(1974〜1987)/第3期・規模の縮小と支援活動の維持(1987〜現在)

3 フォスターのトータル・コミュニケーション
フォスターの教育思想/教室の様子/英語とフランス語の教育/アメリカ手話の導入/手話の学校がもたらしたインパクト

4 ろう者たちの教員研修
CMDの大膨張を支えたろう者たち/ナイジェリアのキリスト教センター/国際色豊かな教員研修/ろう者優先の方針/ベナン人ろう者による指導

5 ろう者の都イバダン
なつかしきイバダンの日々/手話漬けにされた聴者たち/ある研修生のライフヒストリー/教員研修の成功の秘訣/ろう者の都イバダン/偉大なるコーディネーター、フォスター

第4章 フォスターの遺産

1 フォスターの急死と事業の転換
フォスター、ルワンダに死す/各地に降りかかる難題

2 弟子たちのその後
宗教への情熱──ガーナ/地元のろう教育への回帰──ナイジェリア/国際事業の継続──ベナン/弟子たちがかなえた夢──カメルーン/口話主義の到来と抵抗──ガボン/増殖するろう学校

3 フランコ・アフリカ手話の誕生
フランス語圏のアメリカ手話/アメリカ手話の語彙とその変化/アメリカ指文字とその変化/複合語の形成と語順/アフリカ由来の単語/アメリカ手話との乖離/話者たちの意識

4 ろう者たちのキリスト教会
目的としての宗教、手段としての宗教/手話で営まれる教会

5 フォスター伝説──手話に刻まれた歴史
最強のキーワード「フォスター」/語り継がれるフォスターの物語/「フォスターのように」

第5章 ろう者の大事業から学べること

1 なぜCMDは成功したのか
ミラノ会議とベルリン会議/アフリカ=口話主義の空白地帯/アフリカの補聴器事情/フォスターの思想のルーツ/CMDの先進性と批判

2 ろう者観の転換へ──文化人類学のために
三つのろう者観/第四のモデル──動的なコミュニティ像へ

3 手話言語集団の効果──ろう教育のために
CMDの基本戦術/「フランスは大変らしいよ」/ろう教育のためのアファーマティブ・アクションを

4 エンパワーメントと言語的自由──開発政策のために
ろう者の自由と潜在能力/CMDがやり残したこと/開発において手話の自由を

5 はてしない言語抗争の末に──歴史法則の解明に向けて
言語抗争と歴史法則/和解のためのヒント

6 結語
三つの答え

コラム ろう者コミュニティデータファイル

(1)ガーナ共和国………………「西アフリカのろう教育発祥の地」
(2)ナイジェリア連邦共和国…「連邦政府を動かしたフォスターの弟子たち」
(3)ベナン共和国………………「CMDの大膨張を支えた側近グループ」
(4)カメルーン共和国…………「英仏二言語体制がもたらした難題」
(5)ガボン共和国………………「1世紀遅れの口話主義との闘い」

本文注

おわりに──「アフリカろう者の王国史」を書く

(巻末資料)

第7回世界ろう者会議講演「ろうの社会的側面──学齢期」
       アンドリュー・J・フォスター/亀井伸孝訳
フォスターの教育思想を読み解く──フォスター講演解説
       亀井伸孝
アフリカろう者の言語・文化・歴史を学ぶ小事典
関連年表
CMDが設立したろう学校/ろう者キリスト教センター一覧

文献
さくいん(人名/地名/事項/言語名)


■本書に登場する言語名一覧(さくいんより)

【北アフリカの手話言語】
エジプト手話 (Egypt Sign Language)/リビア手話 (Libyan Sign Language)/チュニジア手話 (Tunisian Sign Language)/アルジェリア手話 (Algerian Sign Language)/モロッコ手話 (Moroccan Sign Language)

【西アフリカの手話言語】
バマコ手話 (Bamako Sign Language)/ガンビア手話 (Gambian Sign Language)/ギニア手話 (Guinean Sign Language)/シエラレオネ手話 (Sierra Leone Sign Language)/ガーナ手話 (Ghanaian Sign Language)/アダモロベ手話 (Adamorobe Sign Language)/ナイジェリア手話 (Nigerian Sign Language)/ハウサ手話 (Hausa Sign Language)

【中部アフリカの手話言語】
チャド手話 (Chadian Sign Language)/コンゴ手話 (Congolesian Sign Language)/フランコ・アフリカ手話(Franco-African Sign Language [Langue des Signes Franco-Africaine: LSFA])

【東アフリカの手話言語】
エチオピア手話 (Ethiopian Sign Language)/ケニア手話 (Kenyan Sign Language)/ウガンダ手話 (Ugandan Sign Language)/タンザニア手話 (Tanzanian Sign Language)

【南部アフリカの手話言語】
ザンビア手話 (Zambian Sign Language)/ジンバブエ手話 (Zimbabwe Sign Language)/モザンビーク手話 (Mozambican Sign Language)/ナミビア手話 (Namibian Sign Language)/南アフリカ手話 (South African Sign Language)/マダガスカル手話 (Madagascar Sign Language)

【アジアの手話言語】
日本手話 (Japanese Sign Language)/韓国手話 (Korean Sign Language)

【北米の手話言語】
アメリカ手話 (American Sign Language [ASL])/ケベック手話 (Quebec Sign Language [Langue des Signes Québécoise: LSQ])

【西ヨーロッパの手話言語】
フランス手話 (French Sign Language [Langue des Signes Française: LSF])/イギリス手話 (British Sign Language [BSL])/ドイツ手話 (German Sign Language)/ベルギー手話 (Belgian Sign Language)/オランダ手話 (Dutch Sign Language)/アイルランド手話 (Irish Sign Language)

【北欧の手話言語】
スウェーデン手話 (Swedish Sign Language)/フィンランド手話 (Finnish Sign Language)/デンマーク手話 (Danish Sign Language)/ノルウェー手話 (Norwegian Sign Language)

【音声言語】
英語 (English)/フランス語 (French)/日本語 (Japanese)/スペイン語 (Spanish)/ポルトガル語 (Portuguese)/(アフリカに分布する)ヨーロッパ諸語/地域共通語/民族諸語


■関連日記(ジンルイ日記から)

■マイ文庫の設置 (2010/04/08)
■『アフリカのろう者と手話の歴史』国際開発学会奨励賞を受賞 (2007/11/24)
■『アフリカのろう者と手話の歴史』が『月刊言語』の書評で紹介 (2007/05/17)
■同期の本 (2007/04/05)
■身もふたもない解説に感謝 (2007/03/22)
■読みつがれる/読み捨てられる (2007/02/27)
■毎日新聞の書評で紹介されました (2007/02/18)
■『アフリカのろう者と手話の歴史』発売 (2007/01/15)
■初詣の採点表2006 (2006/12/31)
■『アフリカのろう者と手話の歴史』本日刊行 (2006/12/25)
■いまどきの日本語 (2006/10/30)
■入稿の日 (2006/10/23)
■『アフリカのろう者と手話の歴史』出版助成決まる (2006/04/18)
■紙の上のフィールドワーク (2005/03/11)
■マニフェスト達成! (2005/11/16)
■夏休みのマニフェスト (2005/08/16)


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