AACoRE > Laboratories > Kamei's Lab > Index in Japanese
ILCAA
亀井伸孝の研究室
亀井伸孝

『手話の世界を訪ねよう』
(岩波ジュニア新書 630)

亀井伸孝
東京: 岩波書店
2009年6月19日

日本語 / English / Français
最終更新: 2015年2月26日

手話の世界を訪ねよう

手話は世界共通? 手話はジェスチャー? 実は、手話は文法をもち、国によって異なる複数の言語です。

聴者も、ろう者も、身体の違いでそれぞれ適した言語を持っています。

手話を言語のひとつととらえて、ろう者たちの豊かな文化世界のフィールドワークへ出かけましょう。文化人類学者が異文化への旅に案内します。

2009年度厚生労働省社会保障審議会「児童福祉文化財」推薦図書に選定(2009年12月)。

(目次より)
手話ですべてが進んでいく世界
手話という目で見る言語
ろう者のさまざまな文化
少数言語としての歴史
世界の手話とろう者たち
音声言語と手話の共存をめざして
「ご近所の異文化」を訪ねてみよう ほか
大阪体育大学2015年度入試問題で出題 (2015/01-02頃)
『手話の世界を訪ねよう』第3刷発行! (2013/11/05)
『手話の世界を訪ねよう』第2刷発行! (2011/09/05)
『日本語能力試験問題集』の例題問題文に採用 (2011/04)
沖縄大学の国語入試問題に出題 (2011/03/05)
私立川村中学校の国語入試問題に出題 (2011/02)
『いくお〜る』最終号にロングインタビュー掲載 (2010/02)
厚生労働省「児童福祉文化財」推薦図書に選定 (2009/12/21)
『毎日新聞』書評欄で紹介 (2009/11/29)
四谷大塚「全国統一小学生テスト」4年生国語問題に出題 (2009/11/03)
日本手話学会『手話学研究』の書評で紹介 (2009/10/31)
大修館『月刊言語』の書評で紹介 (2009/11)
『聖教新聞』に関連記事寄稿 (2009/10/11 日曜版)
WEBマガジン『風』に著者インタビュー掲載 (2009/09/15)
『朝日新聞』「ひと」欄で紹介 (2009/08/14)
『毎日新聞』にカバー写真入りで紹介 (2009/07/27)
6月19日、全国書店にて発売 (2009/06/19)

※本のちらしをご自由にダウンロードください → [こちら] (PDF)

■書誌情報・著者
■リンク
■受賞・推薦図書
■書評・報道
■ちょっと立ち読み
■もくじ
■図/写真一覧
■読者別・本書のおすすめの使い方
■関連日記(ジンルイ日記から)


■書誌情報・著者

タイトル: 『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書 630)
著者: 亀井伸孝
出版社: 東京: 岩波書店
発行日: 2009年6月19日
言語: 日本語
定価: 819円 (税込み)
サイズ・形式: 新書判/縦組/240ページ
ISBN978-4-00-500630-4 C0236

著者: 亀井伸孝(かめい・のぶたか)
1971年生まれ。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員。日本手話研究所外国手話研究部研究員。理学博士。手話通訳士。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。専門は、文化人類学、アフリカ地域研究。

著書に、『アフリカのろう者と手話の歴史: A・J・フォスターの「王国」を訪ねて』(明石書店、2006年、2007年度国際開発学会奨励賞受賞)、『アクション別フィールドワーク入門』(武田丈と共編、世界思想社、2008年)、『森の小さな〈ハンター〉たち』(京都大学学術出版会、近刊)、山田肖子編著『アフリカのいまを知ろう』「ろう者と手話」(岩波ジュニア新書、2008年)など。

(著者の肩書きは発行日当時のものです)


■リンク

岩波書店トップページ

岩波書店『手話の世界を訪ねよう』(担当編集者による解説付き)

岩波書店編集部だより: ジュニア新書編集部インフォメーション

「『手話の世界を訪ねよう』の著者、亀井伸孝さんのインタビューが、ウェブマガジン「風」に掲載されています。http://shinshomap.info/ この本についての著者のメッセージが満載です。ぜひご覧ください。」

Amazon『手話の世界を訪ねよう』

WEBマガジン『風』「新書の時の人に聞く」インタビュー

新書マップ『手話の世界を訪ねよう』

デフニュース「新刊・岩波ジュニア新書『手話の世界を訪ねよう』」(2009/06/26)

デフニュース「WEBマガジン『風』掲載」(2009/09/16)

デフニュース「『手話の世界を訪ねよう』児童福祉文化財に選定」(2010/01/28)


■受賞・推薦図書

■厚生労働省「児童福祉文化財」推薦図書
岩波ジュニア新書『手話の世界を訪ねよう』(亀井伸孝, 2009年)が、厚生労働省社会保障審議会「児童福祉文化財」推薦図書に選定されました。

■児童福祉文化財(出版物、舞台芸術、映像・メディア等)の推薦について (2009/12/21)
児童福祉文化財(出版物、舞台芸術、映像・メディア等)の推薦について審査を行い、その結果41点を推薦とした。

出版物委員会
番号=42
作品名=手話の世界を訪ねよう
申請者 発行年月=株式会社 岩波書店 2009年6月
著者名 訳者名 絵画名=著者:亀井伸孝
対象=中学生以上
規格=220頁 780円+税

第26回社会保障審議会福祉文化分科会議事要旨(2009年12月21日)

■児童福祉文化財について(厚生労働省)
社会保障審議会による推薦
社会保障審議会は、厚生労働大臣の諮問に対して答申や意見の具申を行う他、児童福祉法第8条第7項の規程により、出版物、舞台芸術、映像・メディア等の各部門毎に優れた児童福祉文化財の推薦を行っています。

推薦基準
・児童に適当な文化財であって、児童の道徳、情操、知能、体位等を向上せしめ、その生活内容を豊かにすることにより児童を社会の健全な一員とするために積極的な効果をもつもの。
(…)

児童福祉文化財について(厚生労働省)

【関連リンク】

第26回社会保障審議会福祉文化分科会議事要旨(2009年12月21日)

児童福祉文化財について(厚生労働省)

■入間市の中学生作文コンクールで入賞
(正確には、拙著の受賞ではありませんが)
埼玉県の「入間市教育委員会作文コンクール」で、上藤沢中学校3年の山下千里君が、『手話の世界を訪ねよう』の読書感想文「手話の世界を知って」で、堂々の入賞を果たしました。おめでとうございます!

山下千里. 2009.「手話の世界を知って」入間市教育研究会国語部編『茶の花 (中学)』(入間市教育委員会) 63 (2009.12): 105-107.


■書評・報道

『手話の世界を訪ねよう』をご紹介くださりありがとうございます。著作権の関係上、全文の掲載はできませんが、一部をご紹介することで著者からの謝意に代えさせていただきます。また、すべての書評などをカバーできておりませんことにつきご容赦ください。

■『日本語能力試験問題集: N2読解スピードマスター』 (2011/04/10)
手話には、その語や文の特徴が何重にも織り込まれていて、一部分が欠けても全体を理解することができるという特徴があります。これを冗長性と言いますが、(1) その性質のおかげで、両手による百パーセントの表現でなくても、見て分かるのです。もちろん、そのときに、手話特有の表情や視線、口の形や動きなど、手以外の要素が重要な役割をもっています。

[1](1) その性質は何を指しているか。

小林ひとみ・桑原里奈・木林理恵. 2011.『日本語能力試験問題集: N2読解スピードマスター』東京: Jリサーチ出版. 50-51.

■沖縄大学国語入試問題 (2011/03/05)
このようなさまざまな抑圧の経験は、手話ということばで先輩から後輩へと語り継がれ、独自の歴史観を作ります。この歴史観がろう者たちの間で文化として共有されていますので、音声言語中心の社会に対する厳しい見方などの価値観も生まれます。ろう文化を学ぶこととはめずらしい手話や慣習を学ぶことだけでなく、手話が否定されてきたという負の歴史も含めて、〈3〉ろう者の世界観全体を学ぶことなのです。

問6 波線部〈3〉ろう者の世界観とは何ですか。50字以内で述べなさい。

問8 この文章をふまえて、「手話」についてあなたの考えを述べなさい。(200字)

沖縄大学2011年度一般入試B日程「国語」(2011年3月5日, 法経学部; 人文学部)

■私立川村中学校国語入試問題 (2011/02)
聴者とのあいだに、不思議なすれ違いが起こることがあります。あるとき、私が自動車の中にいて、外にいるろう者とガラス窓越しに手話で話していたら、ドライバーが気を利かせて、窓を細く開けました。声で話す人たちにとっては、声が聞こえて話しやすくなるというありがたい配慮でしょうが、手話を話す人たちにとってはどちらでもよく、いわば、「(4) 配慮の空振り」でした。そんなできごとにも出会います。

問6      部 (4)「配慮の空振り」とはどういうことか、説明しなさい。

■『反障害通信』21 (2010/03/15)
亀井伸孝『手話の世界を訪ねよう』岩波ジュニア新書(岩波書店)2009

この本は朝日新聞の「ひと」欄で筆者紹介され(09.8.14)、厚生労働省社会保障審議会「児童福祉文化財」推薦図書に指定されています。

この本はこれから手話を学ぼうとするひとたちの入門書として広く読まれていくと思います。ですが、筆者は上述の「ひと」欄でインビューに答えて、「でもわたしは入り口までの案内人」と話しています。

この本で、繰り返し「文化人類学」の立場で書いた本だということが強調されています。これは二つの意味があるのではないかと推測しています。ひとつは文化人類学的に自文化を語る主体は当事者ということがあります。またろう運動的にも当事者主体の問題があり、筆者は当然それを押さえた上で、文化人類学的な比較人類学・文化論の立場で手話を論じるのだという姿勢を貫いているのではと。

で、彼はかなりろう者社会に入り込み、そして文化人類学の観点からのとらえ返しもあり、その手話・ろう文化論は鋭いことがあるのではとわたしは感じています。また、これほど要領よくまとめた案内書はみあたりません。文化人類学者は、比較文化の中で、伝えるということで的確な文を書けるようになるのではと感嘆しています。勿論、当事者ではないわたしが評価することは筋違いなのですが、わたしが知る限りのろう者の主張にきちんと棹さした論攷になっているのではと。(…)

反障害研究会『反障害通信』21号 (2010/03/15)

■オリジナル版 (ブログ書評)
たわしの雑感&読書メモ: 三村洋明「反障害論」ブログ (2010年02月17日)
手話9: たわしの読書メモ・・ブログ72: 亀井伸孝『手話の世界を訪ねよう』岩波ジュニア新書(岩波書店)2009

■『いくお~る』ブログ (2010/02/09)
【書籍】『手話の世界を訪ねよう』児童福祉文化財に選定

岩波ジュニア新書『手話の世界を訪ねよう』(亀井伸孝著、2009年)が、厚生労働省社会保障審議会「児童福祉文化財」推薦図書に選定されました。
(…)
「いくおーる」89号に、亀井氏と松田編集人のインタビューを掲載しています。

『いくお~る』聴覚障害に関する情報ブログ (2010/02/09)

■『いくお〜る』89(2010/02)
インタビュー「異文化理解と手話学習」
文化人類学者 亀井伸孝氏(東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所 研究員)
(対談2009年11月20日 文責:松田一志)

(…)
亀井/私は、いわばろうという異国に学生を誘うガイドのような役割ですね。これからみなさんはろうの国に向かいます。ろうの国には独自のルールがありますから必ず守ってくださいね、という案内をしているようなものです。

松田/今回出版された『手話の世界を訪ねよう』もそういうところからきている訳ですね。

亀井/面白そうなところだけつまみ食いをして自己満足で終わるのではなく、相手の文化の中に飛び込んで、相手から教えを乞う姿勢が大切なんです。

松田/是非、聴者のみなさんに読んでもらいたい内容です。多くの人に勧めたいですね。

亀井/ありがとうございます。この本は、これまで学生に対して講義した内容が元になっています。この本を読んで、ろう者とはこういう人たちなんだと知ってもらえればと思います。耳の不自由な人にはお手伝いしてあげましょう、という態度は上下関係を作ってしまいます。本書では、聴者が単身ろう者の大会に行き、そこで飛び交う手話の世界を目の当たりにするところから始まります。よくある啓発の本では、多くの聴者たちの中にろう者が一人いて、聴者が支援してあげましょうという場面が多いのですが、その逆をいった訳です。そしてそんな経験ができる場所がありますよという実態を示したかったのです。
(…)
亀井/『いくお〜る』の休刊は大変残念ですけれども、インタビューの機会をいただき、ありがとうございました。違いを認め合える社会を目指して、これからも一緒に頑張っていきましょう。

松田/ありがとうございます。ご健勝をお祈りします。

亀井伸孝. 2010.「インタビュー: 異文化理解と手話学習」(インタビュア: 松田一志)『いくお〜る』(ベターコミュニケーション研究会) 89 (2010/02): 16-25.
『いくお〜る』89 (2010年2月号)

※『いくお〜る』誌は、本号をもって休刊となります。以後は、ウェブ版に移行するとのことです。

■「日本財団会長笹川陽平ブログ」(2010/01/29)
日本財団の笹川陽平会長のブログで、拙著が紹介されました。財団が取り組んでいる手話関連の事業(ろう学生支援、手話辞書と手話教材の開発、専門家の養成など)の紹介記事のなかで、手話という言語についての基礎知識として引用されています。

日本財団会長笹川陽平ブログ「聾者(ろう者)と手話」その3 [2010年01月29日 (金)]

■『はじめて学ぶ言語学』(2009/10/25)
コラム「手話」

日本手話に限らず、アメリカ手話やフランス手話など、どの個別手話も、日本語、英語、スワヒリ語などと同質の仕組み(文法)を持ち、同質の機能を果たすことができるのです。
(…)
手話についてもう少し知りたい読者には、亀井伸孝『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書、2009年)をお勧めします。手話が独自の表現力を持ったことばであることがよく理解できます。

大津由紀雄(慶応義塾大学言語文化研究所教授)

大津由紀雄. 2009.「序章・ことばの世界をさぐる」大津由紀雄編『はじめて学ぶ言語学: ことばの世界をさぐる17章』京都: ミネルヴァ書房. 12-13.

■四谷大塚「全国統一小学生テスト」(2009/11/03)
四谷大塚「全国統一小学生テスト」4年生国語問題 第7問

【定義】「文化は、特定の社会の人々によって習得され、共有され、伝達される行動様式ないし生活様式の体系」(『文化人類学事典』弘文堂、1994年)(…)

この中には、文化の重要な性質が三つ記されています。「習得される」「共有される」「伝達される」の三つです。

まず「習得される」、つまり、文化とは生まれつきの特徴ではないということです。肌の色や手足のつくりなどのように生まれつき定まっていることではなく、生まれた後に、育った環境の中で習い覚えていくことだということです。

次に「共有される」、[ 1 ]、文化は一人でしていることではないということです。「私は朝6時に起きる」と一人で実行していることがあっても、それは個人的な習慣であって、文化とは呼びません。ある集団、[ 2 ]村や国中のみんなが同じようなことをしていれば、文化と呼べる可能性があります。

最後に「伝達される」、つまり、文化はみんながそれぞれバラバラにしていることではなく、人から人へと模倣され、伝わっていくものだということです。私や隣の人が、各自の思いつきで「朝6時に起きる」ことにしていても、これは文化ではありません。[ 3 ]、「隣の人がやっているなら、私もやってみよう」「ぼくも」「私も」と、人びとが次つぎとまねをし、多くの人たちが同じことをするようになれば、これは文化と呼んでよいものです。親や先輩のすることを見て子どもたちがまねをするというのも、典型的な伝達です。

[ 1 ]〜[ 3 ]にあてはまるふさわしいことばを次から一つずつ選びなさい。
 (1) そこで (2) しかし (3) つまり (4) たとえば

四谷大塚「全国統一小学生テスト」(2009/11/03)
受験者: 全国27,801人の小学4年生
問題作成: 四谷大塚出版

※正解は、本書をご覧ください。

■『毎日新聞』(2009/11/29)
「手話の世界を訪ねよう」亀井伸孝著(岩波ジュニア新書・819円)

ろう者の妻をもつ文化人類学者による、「ご近所の異文化」入門だ。手話は、音声言語を逐語訳したものではなく、独自の文法を持つ言語である。
(…)
著者によるイラストも多数収め、読み進めるだけで思い込みが解きほぐされる。

[全文を読む]

『毎日新聞』「今週の本棚」2009年11月29日朝刊. p.8.

■聴力障害者情報文化センターライブラリーコーナー(2009/09/11)
「ライブラリーコーナー: 入荷しました!」

『手話の世界を訪ねよう』

文化人類学者でもある著者が、手話のキホンから、わかりやすく書かれています。言語が違えば、文化が違う!読みやすく、オススメの1冊です。

社会福祉法人聴力障害者情報文化センターライブラリーコーナー

■『働く広場』(2009/10)
ニュースファイル Newsfile: 本紹介: 「手話の世界を訪ねよう」

文化人類学者で手話通訳士の亀井伸孝さんが、手話を言語の一つととらえて、ろう者たちの持つ豊かな文化世界に案内する「手話の世界を訪ねよう」(岩波ジュニア新書)を出版した。
(…)
各章のコラムでは、文化人類学で使われている用語についても解説。文化人類学として手話世界を理解するための一冊。

『働く広場: 障害者と雇用』(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 (JEED)) 385 (2009年10月号): 31.

■『手話学研究』18 (2009/10)
本書の特徴を挙げるとすれば、この「手話の世界」を亀井が自らの専門である文化人類学的視点で書いていること、そして、本書が「岩波ジュニア新書」の1冊として書かれていることで、主な対象が中高生となっていること、これら2点に集約されるであろう。

文化人類学的アプローチを用いた異文化理解という観点から「手話の世界」を描こうと試みた著作は、今までには見られない新しい視座を提供するものである。(…)ろう者世界の内側にいる当事者がその世界を綴ったものは存在したが、コーダではない聴者でいわば「部外者」ともいえる亀井が、「手話の世界」、とりわけ、ろう文化について、文化人類学的アプローチによる第三者的立場から著わした意義は非常に大きいといえる。

その文化人類学的アプローチの一端を示すものとして、亀井は「異文化理解のキーワード」という1ページのコラムを書いており、「フィールドワーク」、「参与観察」、「文化相対主義」、「エティックとエミック」、「多様性と普遍性」、「ラポール」の6つのキーワードを通して文化人類学の基本的考え方を紹介している。本書を通して読むと、このような文化人類学の考え方による助けもあってか、本書で展開される「手話の世界」は文化人類学が扱う多くの文化たちの1つであって、手話言語という音声言語とは異なるモダリティを使用する文化だからといって特別扱いをする必要などないこと、ろう文化はその他の文化と対等な地位にあるまったく遜色のない文化だということが実感させられる。また、別の視点から見れば、本書は「手話の世界」という1つの文化を具体例とした文化人類学の優れた入門書ということもできるだろう。

また、本書が特に中高生向けの本であるということも注目すべき点である。(…)岩波ジュニア新書は、最終ページに掲げられているマニフェストによれば「すぐれた執筆者による適切な話題を、豊富な写真や挿絵とともに書き下ろしで提供」するもので、最新の理論や難解な議論でも中高生が理解できるよう分かりやすいことばで書かれているだけに、このシリーズの書籍を手に取る一般の読者も多いと聞く。本書は、このシリーズの主な対象者である中高生はもちろん、一般の読者に対しても「手話の世界」について知りたいという欲求を十分に満たすものに仕上がっている。

佐々木大介(北星学園大学文学部専任講師)

佐々木大介. 2009.「書評: 亀井伸孝著『手話の世界を訪ねよう』」『手話学研究』(日本手話学会) 18 (2009年10月): 65-69.

■『逓信協会雑誌』(2009/09)
ブックレビュー: 亀井伸孝著 手話の世界を訪ねよう

専門は文化人類学だという著者が、手話を言語の一つととらえ、ろう者たちの豊かな文化世界のフィールドワークを訪ねた意義あるリポートが本書である。
(…)
手話に対するこれまでの自分の偏見や誤解が恥ずかしくなる。異文化をもっと理解しなければならないことを痛感させられる書物だ。

2009年9月号目次

田中一男. 2009.「ブックレビュー: 手話の世界を訪ねよう」『逓信協会雑誌』(財団法人逓信協会) 1180 (2009年9月号): 17.

■『月刊言語』(2009/11)
本書出版の意義は大きい。本来、若い読者のために書かれた啓蒙書であるが、年齢を問わず得るところの多い、知的な刺激に満ちた書である。

本書の第一の特色は、文化人類学者らしい著者の筆致にあり、ろう者たちの文化を丸ごと教えてもらおうという姿勢にある。第二の特色は、(…)豊かな情報が含まれている点にある。そして、第三に、(…)キーワードがしっかり押さえられている点、(…)情報のバランスがいい点をあげたい。

佐々木倫子(桜美林大学大学院国際学研究科教授)

佐々木倫子. 2009.「言語圏α: ことばの書架: 『手話の世界を訪ねよう』」『月刊言語』(大修館書店) 38(11) (2009年11月号): 97.

■『聖教新聞』(2009/10/11 日曜版)
『聖教新聞』からの執筆依頼をいただき、2009/10/11 (日曜版)「サンデーワイド: 文化のページ」に、『手話の世界を訪ねよう』の著者として、手話とろう者の文化についての概説記事を寄稿しました。

多様な文化が光る「手話」の世界
いくつもの国で公用語と認定

■世界各地で独自の文法、方言も
(…)手話は世界共通のジェスチャーではなく、地域によって異なる言語です。私たちが身近に見かける手話は「日本手話」という言語ですが、アメリカには「アメリカ手話」、フランスには「フランス手話」、ケニアには「ケニア手話」というふうに、世界各地で違った手話が話されています。それぞれ音声のことばとは違った独自の文法があり、長い歴史をもち、ろう者たちの間で先輩から後輩へと受け継がれてきた言語です。(…)

■聞くこと以外は何でもできる
手話を話すろう者の間では、さまざまな文化が共有され、伝承されています。音を使わない、視覚や触覚を生かした文化です。(…)また、ろう者たちが手話で行う学問や芸術活動の数かずがあります。(…)このように見ていると、「ろう者は能力がないきのどくな人だ」というイメージは、聴者による勝手な思い込みなのだと気づきます。(…)聴者は、ろう者たちの文化の営みを謙虚に学ぶよう心がけたいものです。

■"障害"は社会制度の側にある
歴史的には、手話に対する無理解が、ろう者の活躍の幅をせばめてしまったことがあります。(…)しかし、時代は変わりつつあります。手話を法律で公用語と定めた国がいくつもあります。国連の障害者権利条約には、「手話は言語である」と明記されました。日本でも、手話を活用するろう学校や、語学科目として手話を学べる大学が現れ始め、ろう者の教員たちも次第に活躍の場を広げています。手話が音声言語と対等なことばとして認められる時代は、すぐそこまできています。(…)

亀井伸孝. 2009.「サンデーワイド: 文化のページ: 『多様な文化が光る「手話」の世界』」『聖教新聞』(2009/10/11 日曜版). 6.

■WEBマガジン『風』(2009/09/15)
新書の「時の人」にきく (第8回)
文化人類学的アプローチによる「手話・ろう文化」の理解とは
文化人類学者 亀井伸孝氏
『手話の世界を訪ねよう』

手話は世界共通ではなく、国によって異なる言語である。文化人類学者・亀井伸孝氏が、手話を話し、音を使わない人たちの社会を異文化としてとらえ、文化人類学の観点から考察した新書を出版した。アフリカでの体験からろう者の世界を研究するに至った過程や、手話が言語として社会にどのように位置づけられるべきかなどを聞いた。

――ジュニア新書ということで、若い読者向けの手話入門書と思ってページをめくってみますと、意外にも、手話の会話表現を学ぶといった内容ではありませんね。

亀井 はい。手話の入門書ですが、これまでの手話の本とは違った切り口で書いています。手話の会話を学ぶ前にだれもが知っておいてほしい大切なこと、たとえば、手話は世界共通ではない、手話は身振りではなく独自の文法をもつ言語である、手話の会話には特有のマナーがあるなど、おもに文化の側面の基礎知識を紹介することを中心にした本です。手話を学ぶ一歩前の、「手話の世界の入り口までのガイドブック」に当たるでしょう。(…)

――先生のご専門である「文化人類学」と「手話」ですが、何かつながりはあるのでしょうか。

亀井 あります!「文化人類学者」による「手話」の本、それがこの本の特色なのです。手話は音声言語と同じく、人類が生み出した多様な言語や文化の一部です。ですから、世界中の文化を相手にする文化人類学がこの課題に取り組むというのは、けっして特殊なことではありません、むしろ必要なことです。そこのところを、私は声を大にして、手話も大にして伝えたいと思います。社会福祉や教育分野で手話に取り組んでいる専門家はたくさんいらっしゃいますし、本も多く出されています。ですから、文化人類学者である私にこそ書けるような本を、と取り組んだのが、今回のジュニア新書です。(…)

[全文を読む]

「新書の「時の人」にきく (第8回) 文化人類学的アプローチによる「手話・ろう文化」の理解とは: 文化人類学者 亀井伸孝氏」『風』(連想出版) 2009/09/15.

インタビュアーである編集部・湯原葉子さんの「編集後記」(2009.09.15) もあわせてご覧ください。

□関連ページ

連想出版
連想出版は、毎月刊行される「新書」をテーマ分類して紹介するなど、新書、および本やその周辺の話題を中心にウェブマガジンを発行しているNPOです。

新書マップ: バリアフリー

■『愛知県手話通訳士協会』(2009/07)
おすすめの本・DVD「手話の世界を訪ねよう」

手話の構造、文法、ろう者やろう文化について、手話に興味を持った方にもわかりやすく書かれていると思います。

[全文を読む](PDF)

『愛知県手話通訳士協会』16 (2009年7月会報, 2009/07/10) 社団法人日本手話通訳士協会愛知県支部 (愛知県手話通訳士協会) 役員会. 7ページ.

■『いくお~る』(2009/08)
図書紹介(BOOKS INFORMATION)「新書 手話の世界を訪ねよう」

説明が具体的でイメージしやすく、著者によるイラストもありわかりやすい。ろう者に関するデータや文化、手話の歴史的位置づけ、世界の手話とろう者などについて広く浅く説明されており、手話学の入門用教科書にしたい内容だ。
(…)
異文化理解のために、相互の信頼関係「ラポール」を構築することの大切さにもふれている。このような視点を持つ若い人たちが増えればうれしいものだ。

『いくお~る』(ベターコミュニケーション研究会) 86号 (2009年8月): 42.

■『朝日新聞』(2009/08/14)
朝日新聞「ひと」2009/08/14 「ひと: 手話の世界に魅せられた文化人類学者: 亀井伸孝さん」

海を越え、ジャングルを奥地へ分け入らなくたって、異文化世界は身近にある。手話という独自の言語を柱に受け継がれる「ろう文化」。その魅力にのめり込んだ。

(…)

現地の言葉を学び、自分の価値観をモノサシにせず、あるがままに見る——文化人類学で培った姿勢が、そこでも当てはまることに驚く。「耳の聞こえない彼らを『能力の欠けた人』とみなすのは、聞こえる側の先入観。それゆえに、ろう文化を一段劣るものとみなす頭から抜け出せないんです」

(…)

思いを伝えたくて「手話の世界を訪ねよう」(岩波ジュニア新書)を著した。「でも私は入り口までの案内人」。新たに扉をたたく人を、いや「照明スイッチ」を押す人を心待ちにしている。(…)

文・写真 谷津憲郎

『朝日新聞』2009年8月14日朝刊 p.2.「ひと」欄.

■『毎日新聞』(2009/07/27)
『岩波ジュニア新書』が創刊30周年: 全国書店で記念フェア

岩波書店が中学・高校生向けに刊行する『岩波ジュニア新書』が創刊30周年を迎えた。新書ブームとはいえども、ティーン向けはこれだけ。「これからも、キホン」をキャッチフレーズに新刊8冊を刊行、全国の書店で記念フェアを開催している。

岩波新書のジュニア版として、1979年に創刊。「10代のうちにこれだけは知っておいてほしい」というメッセージのもと、時代の変化に応じてさまざまなテーマで編集してきた。

80年代の「生き方」「学び方」「戦争・平和」というベーシックなテーマに、90年代の「環境」「ボランティア」、00年に入ると「世界情勢」や「異文化理解」「人権」などが加わり、子どもだけでなく啓蒙書として大人にも人気の幅を広げた。
(…)
30周年を機に刊行されたのは(…)ろう者の豊かな世界を文化人類学者が案内する亀井伸孝著『手話の世界を訪ねよう』--などの8点(819〜1029円)。基本編と発展編各15点ずつを紹介するフェアも全国の書店で開催中だ。【高橋咲子】

(『手話の世界を訪ねよう』カバーイラストの写真入り)

[全文を読む]

『毎日新聞』2009年7月27日夕刊 p.4.

■山陰放送ラジオ (2009/07/27)
山陰放送ラジオ、2009年7月27日(月)の番組「ご近所わいど 今日もハレルヤ!」(8:20-10:45)のなかの「文化の配達人」というコーナーで、『手話の世界を訪ねよう』が紹介されました。


■ちょっと立ち読み

「はじめに」

この本は、「手話について何となく知っているけれど、くわしくは知らない」という若いみなさんのために書かれました。

みなさんは、「手話」と聞いたときにどのようなことを思い浮かべますか。「豊かなジェスチャーの世界」でしょうか。「耳が不自由な人たちのためのやさしさといたわり」でしょうか。「ドラマに登場する女優さんのかっこいい演技」でしょうか。それとも「ガラス窓越しでも会話ができる便利なコミュニケ―ション」でしょうか。

これらはまったくの誤りだとまでは言えませんが、ふだん手話を話して暮らしている私にとっては、どれも違和感のある偏ったイメージの数かずです。なぜなら、手話の世界を理解する上で本当に大事なことは、もっとほかのところにあるからです。

みなさんは、次のようなことを聞いて、どのように思いますか。

・手話には、音声言語とは異なる独自の文法がある
・手話は世界共通ではない
・手話は耳の聞こえない人たちの間で生まれ、伝承されてきた
・手話を話す人たちの間には、特有のマナーがある
・アメリカ手話とイギリス手話は異なることばである
・手話で授業をする大学がある
・憲法で、手話を公用語と定めた国がある

どれも、ろう者たち(手話を話す耳の聞こえない人たち)の間ではよく知られていることですが、残念ながら、耳の聞こえる人たちの間ではほとんど知られてこなかったことです。

(…)

この本では、手話とろう者の文化について学んできたひとりの耳の聞こえる文化人類学者である私が、初心者のみなさんのためのガイド役をつとめます。みなさんがよりよく理解を進められるように、文化人類学が得意とする異文化理解のコツも、あわせて紹介しながら進めていきたいと思います。

では、さっそく手話の世界を訪ねて学ぶフィールドワークに出発しましょう。(→続きは本書で)


■もくじ

『手話の世界を訪ねよう』
亀井伸孝, 2009年, 東京: 岩波書店 (岩波ジュニア新書 No. 630)

【目次】

はじめに
1章 手話ですべてが進んでいく世界
2章 手話という目で見る言語
3章 ろう者のさまざまな文化
4章 少数言語としての歴史
5章 世界の手話とろう者たち
6章 音声言語と手話の共存をめざして
おわりに: 「ご近所の異文化」を訪ねてみよう
コラム: 異文化理解のためのキーワード
◆「フィールドワーク」
◆「参与観察」
◆「文化相対主義」
◆「エティックとエミック」
◆「多様性と普遍性」
◆「ラポール」

【目次詳細】

はじめに

1章 手話ですべてが進んでいく世界

いつも見慣れた街中で/音を使わないおしゃべりの場/目で見る満場の「拍手」/手話ですべてが進んでいく世界/イヤホンを必要とする人たち/手話と手話の間の通訳も/居酒屋でも手話/私が手話にのめりこんだ背景/ろう者の集まりを訪れて学ぶ姿勢/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「フィールドワーク」

2章 手話という目で見る言語

『広辞苑』を見てみよう/文化人類学的な発想での「手話」の定義/聞こえない人たちの多様な世界/ろう者の人口/手話はジェスチャーではない/日本語とは異なる手話の文法/言語の特徴=二重分節性/CLと指文字/「日本手話」と「日本語対応手話」の呼称/脳科学が示した証拠/「話し方」から「言語」へ/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「参与観察」

3章 ろう者のさまざまな文化

「文化」とは?/広義の文化と狭義の文化/異文化はまず学ぶもの/ろう文化の定義/ろう文化の出発点、手話/ろう者コミュニティと手話の家庭/「ろう者」というアイデンティティ/手話の方言と新語/ことば遊びと手話名/手話会話のマナーと慣習/ガラス越しや遠距離での会話/片手での会話、顔だけの会話も/手話の世界の「言語障害」/ひとり言、夢、寝言も/食事にかかわる慣習/そのほかのろう者の慣習/文化の理由にこだわらない/手話で進められる学術活動/ろう者の演劇、映画、話芸/ろう者と音楽/深く関わりあう二つの文化/ろう者の文化を支える新しい技術/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「文化相対主義」

4章 少数言語としての歴史

テレパシーの国に暮らしてみたら?/誤解と否定のまなざしのなかで/多数派の思い込みがもたらす苦痛/手話はヒトの進化とともに生まれた?/手話を言語と見抜いていたデカルト/みんなが手話で話した島/ド・レペ神父のろう学校とその影響/口話法優位を決議したミラノ会議/手話を否定したベル、手話を守った高橋潔/善意に基づく口話法のおとし穴/手話の復権の時代へ/ろう教育論争と文化人類学/人工内耳の背景にある思想/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「エティックとエミック」

5章 世界の手話とろう者たち

世界119種類の手話言語/手話は諸大陸をめぐる/手話は統一しておけばよかった?/各国で違う手話の呼び方/国際的なろう者の組織と活動/世界を飛び回って活躍するろう者たち/国境を越えて伝播するろう文化/手話で運営されている大学/アフリカのろう文化探訪/人種別ろう学校とアフリカの達成/「ろう者の国」を夢見た人たち/地域固有の手話の尊重というマナー/世界の多様なろう者の姿を学ぶ/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「多様性と普遍性」

6章 音声言語と手話の共存をめざして

さらに残る「不便さ」の課題/学会での通訳配置の取り組み/英検と大学講義の改善を求めて/手話を公用語にした国ぐに/ろう者の政治参加と言語政策/もし電車の中で携帯が鳴ったら?/夫婦ゲンカもいい教訓/ろう者と会う時の四つのマナー/マナー(1)声で話さない、声を求めない/マナー(2)アイデンティティを尊重する/マナー(3)聞こえないふりをしない/マナー(4)常にろう者から学ぶ姿勢を/手話に理解のあるかっこいい人になろう/理解と信頼を行き来する/[この章のまとめ]

◆異文化理解のためのキーワード「ラポール」

おわりに:「ご近所の異文化」を訪ねてみよう

さらに学びたいみなさんのために


■図/写真一覧

イラスト: 亀井伸孝作画
写真: 注記していないものはいずれも亀井伸孝撮影

表紙

(図) ろう者たちの世界

1章 手話ですべてが進んでいく世界

(図) 章扉イラスト「はじめまして」
(図) 照明点滅で「前方に注目!」の合図
(図) タクシーのガラス窓越しの会話

2章 手話という目で見る言語

(図) 章扉イラスト「わかった」
(図) 日本手話の語「1か月」
(図) 人さし指と顔だけで表現できるさまざまな日本手話の語
(図) 人名「佐々木」
(図) 表情は手話の重要な文法
(図) 言語の二重分節性
(図) 日本の指文字(すべて相手から見た形で作図)

3章 ろう者のさまざまな文化

(図) 章扉イラスト「かまわない」
(図) 文化の三つの特徴
(図) 日本手話の方言
(図) 手話のことば遊び「〈首をひっこめた亀〉井」
(図) 手話名「カメイ」
(図) 箸が手話の一部になることも
(図) 映画館での手話でのおしゃべり

4章 少数言語としての歴史

(図) 章扉イラスト「そのとおり!」
(図) 「テレパシーの国」に暮らしてみたら?
(図) 手話を「言語」と見抜いていたデカルト
(写真) フランスの国立ろう学校にあるド・レペ神父の銅像
(写真) 『わが指のオーケストラ』(秋田書店カバーイラスト引用)
(図) 手話の禁止から復活へ

5章 世界の手話とろう者たち

(図) 章扉イラスト「ありがとう」
(図) 手話「アイ・ラブ・ユー」
(写真) ろう者の大学、ギャローデット大学
(写真) アダモロベ村のろう者たち(ガーナ)
(写真) 「アフリカろう教育の父」アンドリュー・フォスター (写真提供: ろう者のためのキリスト教ミッション)
(図) 手話「日本」(1)、「日本」(2)

6章 音声言語と手話の共存をめざして

(図) 章扉イラスト「よろしく」
(図) 電車で携帯が鳴ったら?
(図) 最初の夫婦ゲンカの原因は「物音」だった
(写真) 手話での講演(ナイジェリアのろう者の教会で)


■読者別・本書のおすすめの使い方

◆好奇心おう盛な中高生のみなさま
>私たちのほんとうに身近なご近所に、あなたの知らなかった言語・文化の世界が広がっていることに気付いていただくきっかけになればと思います。自分が知らなかったことばや文化に出会うとき、文化人類学者たちが編み出した技って、けっこう便利ですよ。なるほど、こうやって体験しながら学ぶんだな!というふうに、文化を教えてもらうコツを身につけてもらえればと思います。
◆手話を学習している聞こえるみなさま
>初学者のみなさまへ。手話を学ぶこととは、手の形や動きを覚えることだけではありません。その言語を話して暮らすろう者という人びとの世界が、想像以上に深く広いものだという実感をもっていただければと思います。「ろう者と会う時の四つのマナー」なども、ぜひ参考にしていただきたく。

また、手話にあるていど深入りをされている聞こえるみなさまへ。あるていど手話の学習が進んだときに気付く、異文化間のギャップというのがあります。私も、ずいぶんと失敗を重ねました。「こういうとき、どうしてろう者と話がずれたり、機嫌をそこねてしまったりするんだろう?」そんなとき、この本が、素朴な疑問を解決するお手伝いになればと思います。

◆ろう者のみなさま
>ろう者の方にとって、この本に書かれていることはあたりまえに感じることが多いでしょう。むしろ、聞こえる人たちはこういうことに気付いていないのか、というふうに、聴者の現状を知っていただくきっかけになるかもしれません。

ろう者の言語や文化について、聞こえる人たちにいつも同じ質問をされ、そのたびに説明を繰り返すのがたいへんだなあと思うとき、「これでも読んでおきなさい(安い本だし)」などと使っていただけると幸いです。文化人類学の用語解説も、ろう文化をきちんと社会に紹介していく上で、便利に使っていただけることでしょう。

◆文化人類学の研究者や学生のみなさま
>「文化」概念、「フィールドワーク」という調査法、そして「文化相対主義」という調査の姿勢など、本書で使った道具立てはいずれも古典的なものです。しかし、この本を書いていて気付いたことは、「古典的な概念・方法こそ役に立つ」ということです。

「文化相対主義をきちんと使う」という基本を必要としているフィールドが、身近にいくらでもあります。その実例を、この本で見ていただきたいと思います。理論闘争に時間を費やすよりも、さっさとフィールドに出かけ、そこで出会えたことをどんどんフェアに紹介していこう。そういうノリに、文化人類学をもういちど戻していきたいと思います。そのように思う同志のみなさまに。

◆言語学、歴史学、自然人類学の研究者や学生のみなさま
>おもに文化人類学の成果にもとづいた本ですが、言語学や歴史学、自然人類学の分野に重なるテーマを多く含んでいます。この新書の紙幅には収まりきらない壮大な研究領域があるということを、実感していただくきっかけになればと思います。できれば、手話の言語学、歴史学、自然人類学の本が、続いて刊行されることを楽しみに。
◆福祉、開発、医療、マイノリティ、障害などに関わる研究者や学生のみなさま
>この本では、「文化」の概念を定義し、文化相対主義に基づいたフィールドワークを行うという文化人類学の基本を、かみくだいて紹介しました。みなさまの分野で「文化」や「フィールドワーク」ということばを使って教えたり議論したりするときに、参考にしていただくことがあればと思います。


■関連日記(ジンルイ日記から)

■連載「通訳者×文化人類学者」 (2010/04/24)
■マイ文庫の設置 (2010/04/08)
■岩波ジュニア新書への反響いろいろ (2010/02/01)
■『手話の世界を訪ねよう』厚生労働省「児童福祉文化財」に選定 (2010/01/31)
■ジュニア新書で哲学しましょう (2009/12/08)
■『手話の世界を訪ねよう』四谷大塚の小4国語問題に出題 (2009/12/01)
■『手話の世界を訪ねよう』朝日新聞「ひと」欄で紹介 (2009/08/14)
■研究者が一般書を書いたらしかられる? (2009/08/07)
■あわせて買いたい『通訳者のしごと』 (2009/07/10)
■岩波ジュニア新書『手話の世界を訪ねよう』刊行! (2009/06/28)
■『広辞苑』と『日本語-手話辞典』 (2009/06/25)
■歯車としての著者 (2009/06/12)
■荒涼の校了、寂寥の責了 (2009/06/10)
■「一般向けの本」という片思い (2009/06/07)
■第二の天職、校閲 (2009/06/03)
■岩波ジュニア『手話の世界を訪ねよう』校了 (2009/06/01)
■ゲラゲラゲラ… (2009/04/25)
■3日に1本のハードな連載 (2009/04/24)
■愛機 iBook G4 のバーンアウト (2009/04/23)
■岩波ジュニア新書『手話の世界を訪ねよう』脱稿! (2009/04/22)
■「やさしく書く」という試練 (2009/04/13)
■私に十指を与えたもうたご先祖へ (2009/04/09)
■花冷えの頭痛で原稿を妄想す (2009/04/05)


矢印このページのトップへ    亀井伸孝日本語の目次へ

All Rights Reserved. (C) 2003- KAMEI Nobutaka
このウェブサイトの著作権は亀井伸孝に属します。